- 無意識で大きい声で話してしまい注意される・・
- 声のボリュームを調整しようと意識していてもうまくいかない・・
- 自信のない時こそ大きな声で話してしまう・・・
大人の発達障害の方で、声のボリュームを調整することが苦手なために、会社や家庭、学校で注意されたり、時には「うるさい」と言われたりして「なんで自分は声の大きさが調整できないの?」と悩んでしまいますよね。
発達障害がある人が声のボリュームを調整できないのは、『心理面』と『身体面』の2つの理由があります。身体面の問題が絡んでいるため、「意識する」や「気を付ける」といった根性論ではなかなか解決しません。
この記事では、発達障害がある方の声のボリューム調整が難しい理由と、大人の発達障がいの方が日常生活の中で無料でできる対処法を紹介しています。声のボリュームで悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
声のボリューム調整できない理由は『心』と『身体』
発達障害がある人が声のボリュームを調整できない理由は、
- 心理的な問題
- 身体的な問題
の2つの面があります。
心理的な問題では、その心理状態が声のボリュームに影響を与えてしまいます。
対して身体的な問題は、脳の情報処理やからだの感覚などの問題が、声のボリューム調整自体を難しくしています。
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理由①大人の発達障害者の心理が、声のボリューム調整に影響を与える
声のボリュームに関する心理的な問題として次のようなものが考えられます。
- 話の内容に自信がない
- 会話の相手が苦手
- 話をしたい気分ではない
- まちがっていたら嫌だ
- 怒っている
- 忘れそう
- 早く伝えたい
などがあります。
これらのような心理状態であると、声は小さくなったり大きくなったりします。なぜなら心の状態は身体に影響を与えるからです。
理由②大人の発達障害者の身体の情報整理が問題で、声のボリューム調整ができない
身体的な問題は
- 脳の問題
- からだの問題
の2つに分けられます。
まず、声が出るまでの身体的な変化を理解しましょう。
声が出るまでの身体的な一連の流れ
声を出すまでに、脳や身体は以下のような変化があります。
(公共の場だから静かにしたほうがいい、がやがやして騒がしいから大きな声で話したほうがいい、相手は小さな声で話してほしいなど)
声の大きさ自体は④の息を吐く力でコントロールします。
声のボリューム調整ができないのは、②〜④のどこかで脳やからだの機能に問題があるからです。
脳の問題とは、脳の情報整理がうまくいっていない
脳の問題とは、脳が入ってきた情報をうまく整理できないことです。
- 周囲の状況判断ができない
(状況の読み取り判断が苦手、大きい声が良いか小さい声が良いかなどの判断が苦手など)
- 周囲の雑音に過敏に反応する
(ほかの人が気にならない雑音がうるさく感じるなど) - まちがった命令をする
(静かにするべきところで、普通の声のボリュームで話すようにからだに命令するなど)
などがあります。
脳内で情報の整理がうまく行かなければ、声のボリューム調整が難しくなるのです。
からだの問題とは、からだの感覚がうまく働いていない
からだの問題とは、筋肉や関節、骨などを調節する感覚がうまく働いていない事で、声のボリューム調整にも当然影響します。発達障害がある方は、動きを調整する感覚が敏感または鈍感で、力加減や動きの調整が苦手であるケースが多いです。
大人の発達障害者の、声のボリューム調整対処法3つ
ここでは大人の発達障害を持った方の、声のボリュームを調整する対処法を3つご紹介します。
- 健康を意識し、心や脳、体の状態を良くする
- 最初は小さな声で話し始める
- 自分の声を録音して客観的に聞いてみる
対処法①健康を意識し、心や脳、体の状態を良くする
健康を意識することで血流の流れや神経の伝達がよくなるため、脳の働きや体の調整(声のボリュームを調整した発声)がスムーズになります。さらに身体の変化は精神面にもいい影響を与えます。
特に健康の基礎となる睡眠、食事、運動を意識することをオススメします。
睡眠
早寝早起きと十分な睡眠時間の確保は出来ていますか?布団の中でスマホをずっと見ていたり夜遅くまでお酒を飲んだりする生活だと、脳やからだは休めず、翌日に影響してしまいます。
また、睡眠不足は意欲低下・記憶力減退など精神機能の低下を引き起こすだけではなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼします。
遅くても24時までには布団に入り、目を閉じるようにしましょう。
食事
食事の回数や量はもちろん、内容にも気を付けましょう。ラーメンやコンビニ弁当、菓子パン、砂糖や添加物が入ったお菓子などは、血液が汚れる原因や、集中力の低下につながります。そうすると、脳の正常な判断やからだの正常な動きの妨げになってしまうのです。
まずは和食を意識するなど簡単なことからでいいので、栄養のバランスが取れた食事をするようにしてください。
運動
運動をすることで、脳への血流アップ、力加減や細かい動きの調整が期待できます。
オススメの運動は外でのジョギングです。道路のデコボコ、障害物などは注意力の訓練になりますし、有酸素運動であることや風や鳥の音など五感を刺激することは脳全体の活性化につながります。
大人になると運動の機会はなかなかありませんが、体や脳のコントロールはもちろん、健康にもいいこと尽くし。道具も不要ですし、週1からでも始めてみましょう。
対処法②最初は小さな声で話し始める
会話が必要な時は、まずいつもより小さな声を意識して話してみてください。それで相手が聞き返さず、スムーズに会話が進めばその声のボリュームは適切ということになります。聞き返されたらもう少し大きい声で話します。それを繰り返すことで声の適切なボリュームを判断します。
対処法③自分の声を録音して客観的に聞いてみる
自分の声を録音して客観的に聞いてみましょう。客観的に聞くということは、相手の立場になてみるということです。話しているときに聞く自分の声と、録音した自分の声を客観的に聞くとでは、印象が違うことがわかるはず。
できれば友達や家族などの会話を、許可を得て録音し、聞いてみましょう。会話相手との声のボリュームの差がとてもよくわかるので、今後の声のボリュームの判断材料になります。
まとめ
大人の発達障害の方で声のボリュームの調整が難しいのは、心理的な問題と身体的な問題があること、さらに身体的な問題は脳とからだの問題に分けられることを説明しました。
対処法については、日常生活で観光の意識や会話のコツとして最初は小さな声で話し始めること、自分の声を客観的に聞くことなどを紹介しました。
対処法は少しずつでも継続することで効果が出てくるので、あきらめず取り組んでいきましょう!
参考サイト
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参考書籍
〈大人の発達障害〉アスペルガー症候群・ADHDを解決するコツがわかる本/司馬理英子/(株)主婦の友インフォス
この先どうすればいいの?18歳からの発達障害/宮尾益知/(株)大和出版
発達障害の子の脳をきたえる 笑顔がはじける スパーク運動療法/清水貴子/(株)小学館
発達障がいのある子の感覚遊び・運動遊び/秦野悦子/(株)ナツメ社