- いやなことでも断れずについ引き受けてしまう・・
- 言いたいことが言えない自分にイライラしてしまう・・
- 自分の気持ちを上手く伝えられるようになりたい・・
カウンセリングで一番多く聞かれる悩みは職場の人間関係です。
自分や他人と上手く付き合うことは簡単なことではないかもしれません。
自分を大切にできていない、人を避けてしまう、断ることが苦手、相手にも自分にもイライラすることもありますよね。
アサーティブ・コミュニケーションとは、自分も相手も尊重できるコミュニケーションです。
本当に尊重することができるのか、どうすればアサーティブなコミュニケーションができるのかを今回は詳しく紹介します。
公認心理師のサイトスです。
アサーティブコミュニケーションとは「win-winなコミュニケーション」
アサーティブコミュニケーションは、自分と相手の両方を尊重する自己表現方法です。
アサーティブ(assertive)には、「積極的」「自信に満ちた態度」という意味があります。アサーティブコミュニケーションは、互いに気持ちの良いwin-winな自己表現、さわやかな自己表現と言われています。
自分と相手を尊重できていない自己表現とは?
アサーションはアメリカの心理学者ウォルピィが提唱しました。ウォルピィによると、人間のコミュニケーションの方法は3つに分けられるそうです。
3つのコミュニケーション方法
・非主張的自己表現(ノンアサーティブ)
自分よりも他者を優先し、断ることが苦手な人のコミュニケーション方法。
つい受け身になってしまうことが多いのも特徴的です。
また、周りの目や評価を必要以上に気にしてしまい、自分の考えや気持ちに蓋をする人も多いです。ストレスをためやすい人がこのグループに当てはまりやすいでしょう。
・攻撃的な自己表現(アグレッシブ)
自分を優先にしたコミュニケーションをとり、相手が自分の思い通りにいかないと感情的になってしまう人に多いコミュニケーションです。
自分の主張を貫こうとし、相手には配慮が足りない・こわい・関わりたくないと思われてしまうでしょう。他者と良好な関係・信頼関係を作ることが苦手な人はこのグループに当てはまりやすいです。
・アサーティブな自己表現
非主張的な自己表現と攻撃的な自己表現をバランスよく持ち、自分の意見や価値観を大切にしながら、他者に配慮もできるコミュニケーションです。
自分の意見も伝えつつ、相手や状況のことも考え、話し合いで歩み寄ることを意識しています。
このグループに入る人は、相手が攻撃的な自己表現や非主張的な自己表現であったとしても、相手に対抗することも傷つけることもしないでしょう。
アサーティブコミュニケーションの必要性と効果
アサーティブコミュニケーションが必要な理由と効果を解説します。
自他ともに必要以上に傷つかなくて済む
謙遜や遠慮が行き過ぎると「非主張的な自己表現」となります。
この自己表現は、実は相手に対して失礼になっている場合があるのです。
例えばほめられたとき、非主張的な自己表現の場合は「そんなことないです」と言ったり、お礼を言えない人が多いです。相手は自分の意見を否定されたと感じる可能性があります。
攻撃的な自己表現も、相手が傷ついて離れてしまうことで、孤立して自分も傷つく可能性が高いです。
アサーティブコミュニケーションを身につけることで、人間関係のストレスが互いに軽減されますよ。
人の悩みの9割は人間関係。悩みが減ることが最大の効果
職場を辞める(離職・退職する)ネガティブな理由の多くは人間関係ではないでしょうか?
たとえ直接いじめやパワハラなどにはあっていなくても、人間関係がうまくいかないと思い、居心地の悪さを感じる人もいますよね。
アサーティブコミュニケーションが出来ることで、自分の気持ちに気付き、相手を配慮することや前向きな考え方ができるようになります。
アサーティブコミュニケーションの方法・具体例
心理学や医療福祉では、アサーティブなコミュニケーションを練習する行動療法の「アサーショントレーニング」が有名。
「アサーショントレーニング」に関連する「DESC(デスク)法」を参考にするとアサーティブコミュニケーションのやり方が分かりやすいですよ。
DESC(デスク)法
・Describe(描写)
まずは客観的な事実をみます。自分の気持ちや相手への評価は一度置いて、客観的事実を相手に伝えましょう。
・Explan(表現)
「描写」で伝えた客観的事実に対する自分の考えを伝えます。その時に意識することが「誠実」な気持ちです。そうすることで、相手を思いやりながら伝えることができます。
・Specify(提案)
話のテーマや問題点に関して、解決策や代替案を提案します。断ることが苦手な人も、提案・依頼と考えることで、アサーティブに伝えることができますよ。提案は具体的な行動の方が良いでしょう。
・Choose(選択)
提案後の相手の反応を見て、自分が取るべき選択を考えます。柔軟に対応することが大切です。必要に応じて、共に解決策を考えたりすることもよいでしょう。
例えば、自分の業務で手一杯なときに上司から「明日の午前中までにこの資料を完成させてほしい」と言われたとします。
そのような場合にアサーティブコミュニケーションで返すなら
「申し訳ございません。ほかの業務もありまして、午前中までに作ることが難しいです。(描写・事実)
資料の質も損なわれ、ご迷惑をかけることが申し訳ないです。(表現)
可能であれば、今取り組んでいる資料の締め切りを伸ばしていただくことはできますでしょうか(提案)。
それでしたら完成できます(選択)or複数人で作成できるのであれば可能な限り取り組みます(選択)。
このように相手に配慮をしながら自分の意見も伝えることができると、良いコミュニケーションとなるのではないでしょうか。
アサーティブコミュニケーション:まとめ
アサーティブコミュニケーションは、職場の人間関係をスムーズにしたい、断ることが苦手で仕事がたまっていく、ハラスメントにあっている、ストレスを減らしたいという人にはメリットしかありません。