精神障害の方が使える自立支援医療(精神通院医療)デメリットは?

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自立支援医療 デメリット
  • 毎回の通院費が負担で、病院に行くのをためらってしまうんです・・・
  • 自立支援医療を利用すると、どれくらい負担が減るんだろう・・・
  • 自立支援医療を申請するのは難しいのかな・・・

「自立支援医療」という言葉を聞いたことありますか?

これは高齢者や障害者など、生活に困難を抱える人々が自立した生活を送るための医療支援制度です。

しかし、実際にどのような内容で、どんな方々が対象なのか、具体的にどんな費用が軽減されるのか、またどのように利用すればよいのか等々、詳細をご存知の方は少ないかもしれません。

精神疾患の治療は症状が不安定な時だけでなく、穏やかな時期を維持するためにも継続が重要です。

そのために治療期間が長期化することが多く、支払う治療費も比例して増加します。

今回は、地域で生活する上で欠かせない医療費を軽減することができる自立支援医療についてお伝えしていきます。

この記事を書いた人

精神保健福祉士社会福祉士のメントスです。

これまでに、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)と就労移行支援事業所で障害のある方の就労をサポートしてきました。

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自立支援医療とは

自立支援医療は障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に規定された助成制度です。

その主な目的は、障害を持つ人々が社会生活を送る上での障壁を取り除くこと、そしてそれらの人々が自分の可能性を最大限に活用して社会とのつながりを持つことを可能にすることです。

自立支援医療の概念と目的

自立支援医療制度は、精神疾患により日常生活に支障をきたす人々を支える存在です。

この制度は、医療と生活支援を通じて、その人たちが安心して医療を受けられる環境を整えることを目指します。この制度を利用することで医療費の負担が軽減され、生活面でも支援を受けられます。

自立支援医療の3つの種類:精神通院医療、更生医療、育成医療

自立支援医療には主に3つの種類があります。

  • 精神通院医療: 精神障害者が自立生活を送るための支援を提供します。主に、通院治療を必要とする方々が対象となります。
  • 更生医療: 身体障害者が自立した生活を送るための支援を提供します。リハビリテーションを中心とした医療を必要とする方々が対象となります。
  • 育成医療: 成長期の障害者が自立した生活を送るための支援を提供します。特に、小児期に障害を持つ子供たちの医療と生活支援に重点を置いています。
メントス

今回は精神通院医療について詳しく説明していきます。

自立支援医療の対象者とは

精神通院医療
メントス
自立支援医療の対象となるのは通院による治療継続が必要な精神障害を有した方です。

対象となる疾患名

  • 統合失調症
  • うつ
  • 薬物中毒または依存症
  • PTSDなどのストレス関連障害
  • パニック障害などの不安障害
  • 知的障害
  • 発達障害
  • 認知症
  • てんかん

上記以外の精神疾患も対象となる場合があります。

精神保健福祉手帳や障害区分がなくても、上記病名が診断されていれば利用できることがポイントです。

自立支援医療で軽減される費用

自立支援医療を利用すると、医療費の一部が公的に支払われ、患者の自己負担額が軽減されます。

具体的にはどのような費用が軽減され、自己負担の上限はどの程度なのかを説明します。

公的負担額と自己負担額

自立支援医療の制度では、医療費の一部が公的に負担されます。これにより、患者が支払うべき医療費(自己負担額)が軽減されることになります。公的負担額は、医療保険とは別に設定されており、医療の種類や患者の所得により異なります。

たとえば64歳までで国民健康保険に加入している方の場合、多くの方は3割負担ですが、精神疾患に対しての治療費用に限り1割まで負担割合が引き下げられます

また負担費用が多額になり過ぎないよう、ひと月あたりの医療費について上限が設定されます。上限となる金額は世帯所得によって0円から20,000円までの設定に分けられます。

自己負担額の月額負担上限額

自己負担額の月額負担上限額は、家庭の年収や世帯構成によって変わります。

これは、一ヶ月に支払うことが求められる医療費の上限額を示しています。たとえば、年収が200万円未満の1人暮らしの場合、月額の自己負担上限は1万円程度となります。この上限額に達した場合、それ以上の医療費は全額公的負担となります。

世帯の所得区分自己負担割合1ヶ月の自己負担上限額
一般重度かつ継続
生活保護生活保護世帯0割0円0円
低所得1市町村民非課税世帯
本人収入額80万円以下
1割2,500円2,500円
低所得2市町村民非課税世帯
本人収入額80万円超
5,000円5,000円
中間1市町村民税(所得割)
3万3千円未満
上限なし
中間2市町村民税(所得割)
23万5千円未満
10,000円
一定所得以上市町村民税(所得割)
23万5千円以上
右記自立支援医療
対象外
20,000円※

高額療養保険制度との比較

自立支援医療制度ではなく高額療養保険制度によるひと月あたりの限度額は35,400円以上(4回目以降限度額:24,600円)となるため、長期的な治療や高額な薬剤費用がかかる場合には、自立支援医療制度は非常に助かる制度です。

高額療養保険制度(70歳未満の方の自己負担限度額)

区分所得要件月額
所得金額
901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
(4回目以降限度額:140,100円)
所得金額
600万円超901万円以下
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
(4回目以降限度額:93,000円)
所得金額
210万円超600万円以下
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
(4回目以降限度額:44,400円)
所得金額
210万円以下
57,600円
(4回目以降限度額:44,400円)
世帯主及び国保加入者
全員が住民税非課税
35,400円
(4回目以降限度額:24,600円)

自立支援医療の対象となるものとならないもの

自立支援医療の制度を利用する際、対象となる医療費と対象とならない医療費があります。これらの違いを理解することで、自己負担額を正しく把握し、適切に制度を利用することができます。

対象となるもの

通院での治療にかかる費用が助成対象となります。

・通院での受診および検査費用
・精神疾患に対する処方薬
・精神科デイケア
・訪問看護
等が自立支援医療で費用軽減されます。

自立支援医療の対象とならないもの

メントス
あくまで通院に対する治療の軽減制度のため、入院での医療費は対象とはなりません。

また先進医療や新薬、自費対象となるカウンセリングなど公的医療保険が対象とならないものについては軽減されないため注意が必要です。

精神障害に起因しない感冒症状や外傷などについても対象とならず、それらについては元々加入していた健康保険での治療となります。

自立支援医療の申請・利用方法

メントス

自立支援医療の申請から利用までの手順を説明します。

申請方法

自立支援医療の申請を行うためには、以下の手続きが必要です。

  1. 申請書の提出:市町村の社会福祉課や福祉事務所で自立支援医療の申請書を受け取ります。
  2. 主治医の診断書:主治医に診断書を作成してもらい、その内容を申請書に記入します。
  3. 必要書類の提出:申請書と診断書を市町村の窓口に提出します。

3つの手続きを経て審査が行われ、承認が下りたら自立支援医療が利用可能になります。

担当窓口は自治体によって名称が様々ですが、多くは障害福祉課や保健福祉課、精神保健福祉センターといったところが担当となります。

必要なモノ

  • 自立支援医療支給認定申請書
  • 医師の診断書
  • 医療保険世帯の所得が確認できる書類
  • 健康保険証
  • マイナンバーが確認できる書類

自治体によって必要な書類が異なる場合があるため、事前に電話やホームページで確認してくださいね。

利用方法

自立支援医療の利用方法は次の通りです。

  1. 受給者証の提示:自立支援医療の承認が下りると、受給者証が交付されます。医療機関で治療を受ける際に、この受給者証を提示します。
  2. 指定自立支援医療機関での利用:自立支援医療は、指定された医療機関でのみ利用することができます。指定医療機関は市町村の窓口やホームページ等で確認できます。

自立支援医療を申請・利用する際の4つのチェックポイント

チェックポイント

  • 申請・利用できるところは指定自立支援医療機関のみ

自立支援医療を利用できるのは、都道府県または指定都市から指定された事業所のみとなります。申請時に診断書を作成できる医療機関も同様です。まずはかかりつけ医か、お住まいの担当窓口へ相談することをおすすめします。

  • 受給者証には有効期間がある

受給者証は1年間の有効期限があります。継続して利用するためには更新が必要となるため注意しましょう。

  • 診断書の他に意見書が必要な場合がある

かかりつけの医療機関だけでは必要な検査が行えない場合には、診断書の他に意見書が必要となる場合があります。かかりつけ医以外の医療機関に属するデイケアに通う場合も同様です。

  • かかりつけ医を変更する場合は担当窓口へ申請が必要

受診する医療機関の変更や追加が必要となった場合、お住まいの担当窓口へ変更の申請が必要となります。

有効期限と更新方法

自立支援医療の受給者証は一定の有効期限があり、期限が近づいてきたら更新手続きが必要となります。

更新方法については、市町村の窓口に問い合わせて確認しましょう。また、状況が変わった際(疾患の改善や悪化など)にも、再度審査が必要となるため、主治医や窓口に相談することが重要です。

自立支援医療のメリット

自立支援医療の利用にはさまざまなメリットがあります。具体的には以下のようなメリットが挙げられます。

自己負担が軽くなる

自立支援医療を利用することで、自己負担額が大幅に軽減されます。通常の医療費と比較して自己負担の割合が大幅に下がるため、経済的な負担が軽くなります。

指定医療機関での治療が可能

自立支援医療は、指定された医療機関でのみ利用することができます。指定医療機関は各自治体により認定された医療機関で、適切な医療が提供されることが保証されています。これにより、利用者は安心して治療を受けることができます。

自治体によっては自己負担額が無料

自立支援医療の自己負担額は、生活保護受給者など一定の要件を満たす方については、自治体によっては無料となる場合があります。

この場合、さらに経済的な負担が軽減され、必要な医療を受けやすくなります。ただし、具体的な条件や手続きについては各自治体に確認することが必要です。

自立支援医療を利用するデメリット

自立支援医療は医療費の軽減という大きなメリットを持つ一方で、デメリットもあります。

利用できる医療機関が限られる

自立支援医療は、指定された医療機関でしか利用することができません。

つまり、いつも通っている医療機関が自立支援医療の指定を受けていなければ、その医療機関での治療は自立支援医療の適用外となります。このため、自立支援医療の申請を考える際には、自分が通うことになるであろう医療機関が自立支援医療の指定を受けているか確認することが重要となります。

年に1度の更新が必要

自立支援医療の受給者証は原則として年に1度の更新が必要です。更新手続きは時間と手間がかかりますし、更新手続きを怠ると受給資格が失われてしまうため、手続きのスケジュール管理も必要になります。

カレンダーやスマートフォンのアラーム機能などを利用して、更新時期を忘れないようにしましょう。

申請日以前の医療費は補助されない

自立支援医療の適用は、申請が認められた日から始まるため、それ以前に発生した医療費については、自立支援医療の対象外となります。このため、早期の申請が重要となります。もし病状が進行してから申請を考えると、申請手続きの間にかかる医療費は全額自己負担となるので注意が必要です。

自立支援医療を利用するデメリットはあるの?

自立支援医療を提供する医療機関が限られているため、自分の希望する医療機関で受けることが難しい場合があります。

また他の医療保険とは違い、治療方針や医療行為の選択肢が限られている場合があるため、自分に最適な医療を受けることができないことも。

一定の要件を満たしていない場合は、保険適用外となるため、自費での負担が必要となる場合があるので適用される治療であるか確認しましょう。

まとめ:自立支援医療制度を利用して負担を少なく継続しよう

メントス
今回は通院治療費の負担を軽減することのできる自立医療制度について分かりやすく説明しました。

治療は必要だけど金額がかかるため、受診や服薬を中断してしまうと症状が悪化してしまう場合があります。安定した状態を継続するために、自立支援医療を利用して無理のない治療を続けましょう。

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