京都には就労支援をおこなっている就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の施設が約380カ所。その中で就労移行支援は現在63事業所あります。
今回はその中からおすすめの就労移行支援事業所を紹介していきたいと思います。
興味のある所が見つかったらぜひ気軽に見学をされてはいかがでしょうか。
就労三銃士では複数の事業所を見学し、比較検討することをおすすめしています。
就労移行支援って?対象者は?
就労移行支援は、障害者総合支援法で定められている障害福祉サービスです。
就労移行支援事業所の利用対象者は18歳から64歳までの障害者・難病をお持ちの方になります。
障害者手帳を取得していなくても、主治医の診断書や定期的な通院があれば利用できることがありますので確認してみて下さいね。
就労移行支援の利用方法は?
まずは通える範囲の事業所を調べ、いくつかの事業所に実際に見学に行ってみましょう。
自分の目的に合った事業所を見つけたら、福祉サービスを利用するための「受給者証」を申請します。
サービス等利用計画書や障害者手帳等を障害福祉課の窓口に提出するなどの手続きが必要ですが、利用する就労移行支援事業所のサポートがあるので難しくはありません。安心して下さいね。
就労移行支援事業所はここをチェック!
人に勧められるまま見学もせずに決めてしまった。
家に一番近いから通うのが楽だと思った。
検索したら一番上に出てきた事業所だったから。
実はこんな理由で事業所を選んでしまったという方も多いんです・・。
せっかく事業所に通っても就労に結びつかなくては困りますよね。
令和元年度の調査によると、就労移行支援を利用した人のうち、3割近くの方はトレーニング終了前に事業所を辞めているという結果に。
思っていたトレーニングではなかったり、事務所の雰囲気が合わず馴染めないなどの理由で途中で辞めてしまうのは残念ですね。
事業所選びの際に必ずチェックして欲しいのはこの3つです!
チェックリスト
- 就労移行支援事業所のタイプ
自分の目的に合ったプログラムのある事業所ですか? - 就労率と定着率
実績がある事業所には就労につながるノウハウがたくさんありますよ。 - 事務所の雰囲気
事務所の雰囲気も様々です。自分に合ったところでないと続きませんね。
では、チェックポイントを詳しく見ていきましょう。
就労移行支援事業所のタイプ
就労移行支援事業所は大きくわけると以下の3つのタイプに分かれます。
総合一般型
就労が初めての人やブランクがあり不安がある人でも、就労に必要な様々なスキルを高めることができるよう多種多様なプログラムが用意されている。
障害理解、自己理解、アンガーマネジメントなどセルフコントロールに必要なプログラムも充実。
専門スキル特化型
IT関連のスキル習得に特化した事業所が多い。
資格取得のためのサポートプログラムがあり、資格を就労後に活かすことができる。
障害種別特化型
障害特性に配慮したプログラムがある。
同じ障害を持つ仲間と安心してトレーニングを受けることが出来る。
就労率と定着率
2019年に調査したデータでは全国に3000以上ある事業所のうち約3割が就労実績がゼロ・・。
トレーニング修了者でも就職に結びつかなかった方が4割以上というデータがあります。
いえいえ、しっかりとした事業所であればもっと高い就職率をあげていますので安心して下さい。
就労率の高い事業所には就労につながるノウハウや、独自に就労先の開拓をしている所もあります。
事業所選びには就労率をしっかりチェックして下さいね!
次にチェックしたいのが定着率。
精神障害と発達障害の方の就労してから1年間の就労定着率です。
精神障害の方においては1年後には半分以上の方が離職している現状があるのです。
ひとつは就労先とのより良いマッチングです。
自分自身がしっかりとしたビジョンをもつことももちろん重要ですが、事業所側の努力やノウハウにも大きく左右されるところです。
利用者の希望や適性を丁寧に聞き取り、企業側に合理的配慮を求めながらつなぐことができる力がある事業所かどうかで定着率は大きく変わってきます。
もうひとつは、うまくヘルプを出せる力が身についているかどうか。
これは自己理解や障害理解を通してセルフコントロールを身につけることや自分のトリセツを自分自身がもち対処法を身につけているということです。
- 体調不良になるサインを自分自身が感じ取ることができると、休憩や通院などを申し出ることで大きく体調を崩すことを防げます。
- また仕事上、理解しにくいことや進めにくい課題があった時、それをきちんと言語化して伝えるスキルがあると、ストレスを抱える前に企業側も配慮が必要なポイントがわかります。
事業所の雰囲気
なぜならどんなに評判の良いところで、実績のある所でも事業所の雰囲気が自分に合わないと継続して通うのが難しいからです。
アットホームなところでコミュニケーションを取りながら訓練を受けたい人
個別ブースでトレーニングに集中したい人
就労後をイメージしたオフィススタイルの事業所でトレーニングを受けたい人
それぞれに合う事業所は違うと思いませんか?
事業所の雰囲気は実際に見学に行かないとわかりません。
複数の事業所の見学をおすすめする理由はこのためなのです。
チェックポイントがわかったところで、いよいよ京都でおすすめの就労移行支援事業所を紹介していきたいと思います。
ウェルビー 京都四条烏丸センター
運営会社 | ウェルビー株式会社 |
対象 | 精神障害・身体障害・知的障害・発達障害・難病・その他 |
対象地域 | 北海道 宮城県 栃木県 群馬県 埼玉県 東京都 千葉県 神奈川県 新潟県 石川県 長野県静岡県 愛知県 三重県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 滋賀県 岡山県 広島県 愛媛県 香川県 福岡県 熊本県 長崎県 鹿児島県 |
就労実績 | 986名(2022年度全体) 累計6251名 |
定着率 | 91.3%(6ヶ月定着率| 2021年10月~2022年9月 の期間で就職した方) |
事業所数 | 108事業所 (全国|2023年8月現在 仮オープン含む) |
ウェルビー四条烏丸センター実績
ウェルビー 四条烏丸センター就職者数
年度 | 就職者数 | 定着率 |
---|---|---|
2021 | 13人 | 90.5% |
2020 | 10人 | 89.3% |
2019 | 10人 | 90.1% |
ウェルビーの特徴
ウェルビーの事業所はオフィスタイプ。
実際のオフィスをイメージしながら、土台となる力と仕事のスキルを身につけていきます。
グループワーク ビジネスマナー 就職活動プログラム
パソコン訓練 ベーシックトレーニング
オフィスワークシミュレーション 企業実践
軽作業、書類作成、電話応対などのオフィスワークシミュレーションで働くイメージをつかみます。
ウェルビーに向いている人
ウェルビーは総合一般型の事業所です。
多くのプログラムが用意され、就労が初めての人やブランクのある人でもステップをふみながらゆっくり進めていくことが出来るので安心です。
反対に就労経験が長い方や、専門的なスキルアップを目指している方には物足りなく感じるかもしれませんね。
ウェルビーでは生活サポートとして、希望する人にはカロリーと栄養バランスのとれたお昼を提供しています。
昼食付の事業所を探している人にもおすすめです。※訓練等給付費自己負担分に含まれる場合があります。
京都 LITALICOワークス
業界最大手のリタリコワークスは、リタリコワークスもウェルビーと同様に一般総合型の就労移行支援事業所です。
様々な障害をもつ方が幅広いスキルを身につけることができるので人気です。
LITALICOワークスの実績
LITALICOワークスは全国に100カ所以上の拠点があり、京都には現在6カ所の事業所があります。
LITALICOワークス烏丸御池
年度 | 就職者数 | 定着率 |
---|---|---|
2020 | 13人 | 84.6% |
2019 | 13人 | 46.2% |
LITALICOワークス京都駅前
年度 | 就職者数 | 定着率 |
---|---|---|
2020 | 10人 | 100% |
2019 | 16人 | 87.5% |
LITALICOワークス四条河原町
年度 | 就職者数 | 定着率 |
---|---|---|
2020 | 16人 | 93.8% |
2019 | 12人 | 83.3% |
LITALICOワークスの強み
リタリコワークスは2008年から就労移行支援事業を開始しています。
長い経験と多くの実績から築いたノウハウがあり、11,000名以上の方が就労に結びついています。
就労移行支援事業所は就職先をあっせんする機関ではないため、一般的にはハロワーク等を利用しながら求人先を探すこととなります。
しかし、大手の事業所は企業に多くの実習先をもっていたり、企業が事業所を訪ねてくれるなど、企業側とにつながる機会もあるので、ハローワークしか求人先とのつながりがない事業所に比べて就労につながりやすいといえるでしょう。
LITALICOワークスに向いている人
LITALICOワークスは幅広い業種や職種に就職実績があり、どのような方にも向いている事業所といえます。
特に社員が1000名以上の規模の企業への就職が半数を占めていますので、大企業への就職を希望される方におすすめです。
また、LITALICOワークスでは4500ヶ所以上の実習先が用意されているので、まずは気になる業種でインターンとして職場体験をしてみることで、自分の適性や興味関心など新たな発見があるかもしれませんね。
ひとり一人に徹底して向き合うサポートを大事にしているLITALICOワークス。実績のある事業所で安心して丁寧な支援を受けたい方におすすめの事業所です。
京都 ディーキャリア
ディーキャリアは、特に発達障害を抱えた方に特化したサポートを行っている事業所です。
現在、首都圏を中心に全国に81拠点(2022年5月)展開。京都には2つの事業所があります。
ディーキャリアの実績
ディーキャリア京都御池オフィス
年度 | 就職者数 | 定着率 |
---|---|---|
2021 | 6人 | 100% |
2020 | 6人 | 100% |
2019 | 8人 | 100% |
ディーキャリア 四条烏丸オフィス
年度 | 就職者数 | 定着率 |
---|---|---|
2021 | 9人 | 88.9% |
2020 | 2人 | 100% |
ディーキャリアの強み
ディーキャリアでは発達障害の方の発達特性に応じたプログラムが用意されています。
①対人関係に対する困り感 | コミュニケーションスキルプログラム |
---|---|
②ストレスからくる困り感 | ストレス対処法プログラム |
③生活リズムが不安定からくる困り感 | セルフケアプログラム |
④仕事内容の不一致による困り感 | キャリアプランニング、特性理解を深めるプログラム |
⑤職場の障害への不理解による困り感 | 障害特性理解のプログラム、ナビゲーションブック(自身の取扱説明書)・特性プレゼン |
自己分析を徹底的に行い、職業適正を見極めた上で訓練に取り組みます。
ひとり一人に合う適職を見つけやりがいをもって仕事に取り組むことができるため、就職後6ヶ月の職場定着率は93.4%と高い数字となっています。
ディーキャリアに向いている人
障害種別平均給与は以下となっています。
障害 種別 | 身体 障害者 | 知的 障害者 | 精神 障害者 | 発達 障害者 |
平均 給与 | 215,000 | 117,000 | 125,000 | 127,000 |
ディーキャリアでは給与や勤務形態などの就業条件等をスタッフが企業に直接交渉してくれるので就職時平均給与は19.1万円。なんと平均の1.5倍の給与です。
ディーキャリアは、発達障害に特性に応じたプログラムを受け、平均より高い給与を目指したい方に向いている事業所といえます。
ASK 京都 烏丸オフィス
ASK(アスク)烏丸オフィスは、株式会社ASKが運営する就労移行支援事業所です。
烏丸オフィスのほかに、京橋オフィスや大阪市には児童発達支援事業所・放課後等デイサービスがあります。
障害のある人の「働きたい」という声にこたえ、烏丸オフィスは誕生しました。
ASK烏丸オフィスの実績
アスク烏丸オフィスの一般企業6か月職場定着率は、92.5%です。
開業から現在までに至る約6年間の実績。92.5%はとても高いですよね。
また、令和以降の6ヶ月職場定着率は100%で、安定・安心の実績です。
アスク烏丸オフィスの特徴
アスク烏丸オフィスでは、働き続けるための3つの訓練に力を入れています。
- コミュニケーションソーシャルスキルトレーニング
- 事務訓練
- 余暇活動支援
コミュニケーションソーシャルスキルトレーニングでは、一人ひとりに合う「関わり方・コミュニケーション方法」を専門スタッフとの訓練を通して身につけられます。
事務訓練では、パソコンの基本操作を練習しながら、できることが増えるという「自信」を身につけられます。
余暇活動支援では、ストレスコントロールができるよう、休みの過ごし方の支援にも力を入れています。
興味の幅が広がるような支援をアスク烏丸オフィスでは行っています。
ほかにも、自分の特性を正確に伝えるための面接訓練や応募書類の添削指導など、就職活動のためのトレーニングも行います。
利用者・卒業生の声
アスク烏丸オフィスから就職した方々の声を集めてみました。
30代女性/うつ病
アスクを職場だという思いで利用しました。
遅くまで起きないようにしようとか、プログラムでもらった資料をどうまとめて管理しようかなど、考えながら利用していました。
今まで販売職の経験ばかりでしたが、事務職についての知識を得られたのが良かったです。
20代男性/自閉スペクトラム症
ハローワークの担当者とも真摯に話し合いを行っていただき、今の就職先の実習へ進む事にも繋がりました。
やはり自分の弱みや強みをアスクでのプログラムを通して把握できたのがよかったです。
特に企業さんへの配慮シートの作成や職場で注意すべき点の確認等に役立ちました。
アスク烏丸オフィスの利用が向いている人
・異業種転職や就労経験がないなどで、自信のない人
・人と関わることが苦手、勇気が持てない、もしくは人と関わることが苦手になった人
誰もが抱える不安に、アスクは親身に対応してくれるでしょう!アスク烏丸オフィスは京都市中京区にあります。
京都 CRAワークサポートセンター
CRAワークサポートセンターは、NPO法人クリエイター育成協会が運営する京都市下京区の就労移行支援事業所です。
もう一つ、四条にもワークサポートセンターがあります。平成27年に開設し、Webサイト制作のプログラムなどに特化したトレーニングを行っていることが特徴的です。
CRAワークサポートセンターの強み
CRAワークサポートセンターは、関西No.1の実践的なITスキルを得られる就労移行支援事業所。
関西・京都には数多くの就労移行支援事業所がありますが、その中でも特にWebデザインなど、ITスキルの向上に力を入れています!
ITスキルは、職員の指導意外にIT関連の大学や専門学校、スクール運営で有名な「デジタルハリウッド」と提携。デジハリオンラインスクールの教材で、IT技術を学ぶことも可能です!
CRAワークサポートセンターの制作実績
CRAワークサポートセンターでは、一部ですが利用者さんたちが制作した作品を公式サイトで紹介しています。
制作実績
・絵はがき専門販売サイト「京の絵はがき屋さん」
写真撮影、商品開発、販売まで、CRAワークサポートセンターのメンバー中心に運営中。
・犬猫用消臭剤「g-mist」(ユニトライク株式会社様)のWebサイト
イラストを当センターのイラストレーターが担当
実際に作ったものが世に出るってとても嬉しいですよね!
利用者の声
CRAワークサポートセンターの利用者の声を集めてみました。
40代男性
CRAワークサポートセンターのクリエイター職に特化したカリキュラムは、新鮮でした。
リズムを整える為に、通所は週3回の予定だったのですが、雰囲気や作業が楽しいので、週5日間、通えています。
今はDTPの知識、Illustrator、photoshop等を勉強しています。
30代男性
最初は、初対面の人と話すのが苦手でした。通所を通して、色々な方と触れ合う内に、苦手を克服できました。
35歳までに一人前のプログラマーになり、安定した収入を得たいと思っています。今はHTML、CSS、javascript、jQuery、ScotchBox、Vagrant、Illustrator、photoshop、PHP等プログラムをメインに色々な事を勉強しています。
CRAワークサポートセンターが向いている人
・趣味の範囲や未経験だけど、IT業界で働きたい人
・就職後に活用できる実践的なスキルを身につけたい人
CRAワークサポートセンターはブログも定期的に公開しています。ITスキルだけではなく、面接練習や交流会など、様々なイベントを通して「人との関わり」も学べる就労移行支援事業所です!
京都でおすすめの就労移行支援事業所 まとめ
今回は京都でおすすめの5つの就労移行支援事業所を紹介しました。
それぞれの事業所に魅力的な強みがあるため迷ってしまう・・という方は、気軽にいくつもの事業所を見学することをおすすめします。
いくつかの事業所を見て比較検討することで、自分に必要なサポートや自分に合う雰囲気の事業所がわかってきます。
複数見学をすれば、通所後「やっぱり違う事業所の方が良かったかも・・」なんていう迷いももたずにすみますね。