うつ病とは、脳が電池切れになったような状態です。
脳のエネルギー切れにより、次のような特徴が現れます。セルフチェックをしてみましょう。
主なうつ症状
- 寝つきが悪くなる
- 疲れやすい
- 表情が暗い
- 自分を責める
- 涙もろくなる
- 人付き合いをさける
- ミスが増える
- お酒やタバコが増える
- 食欲がなくなるか過食の両極端
チェックがたくさんついたという方はいませんか?
うつの人の割合は、2013 年の 7.9%から、2020 年の 17.3%と 2 倍以上に増加したともいわれ、身近なものとなっています。(経済協力開発機構(OECD)の調査)
もしも「こんな自分はダメだ・・」と責めてしまっているならこの記事を最後まで読んで見てくださいね。
うつ病の人は怠けている?
仕事を休みがちで、怠けていると誤解されがちなうつ病の人。急に仕事を休むので、周囲の人から自分勝手とも思われます。
ですが、うつ病になりやすい人は、怠け者とは真逆のタイプ。
- 真面目な人
- 気を使いすぎる人
- 頑張りすぎる人
など、真面目な人や周りに気を遣う人は、脳が疲れやすい人だと言われます。
脳の疲れから起こるうつ病は、怠けグセとは全くの別物です。
うつ病になるのは特殊な人?
うつ病の人の割合は年々増えており、人口の0.1%と言われる難病とは違い、さほど珍しい病気ではありません。
また、うつ病は様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされる脳のトラブル。仕事でストレスが原因でうつ病になる人は、今やめずらしくありません。
個人差はありつつ、誰にでもリスクがあるのがうつ病です。
うつは「死に至る恐ろしい病」
うつ病は「心の風邪」とも言われていましたが、放置すれば死に至る病。自分を責めがちなうつ病の人は、死んで楽になりたいと考えがちです。
うつ病の症状が進むにつれ、自殺の方法など具体的なイメージが思い浮ぶように。悪化すれば、うつ病の人は実行に移してしまう怖さがあります。
うつ病と若者・現役世代の死因
10代後半〜30代の死因で最も多く、40・50代でも上位に入るのが自殺。うつ病の主な症状に「希死念慮」という自殺願望があります。
年齢を重ねて症状が現れる生活習慣病とは異なり、幅広い年齢の人に見られるうつ病。自殺の主な原因の一つに、うつ病の悪化が考えられます。
あなたは大丈夫?うつ病セルフチェック
この記事を読んでいる人の中には、自分もうつ病かも?と思っている人もいるでしょう。とは言え、自分が本当にうつ病かどうか早い段階で判断できる人は少数派。
そこで、うつ病の疑いがあるかどうかを簡単に調べるセルフチェックをご紹介します。
病院に行く必要があるかどうか迷う人は、うつ病セルフチェックを参考にしてみてください。
うつ病セルフチェック
- 次の質問に対して、A~Dのうち当てはまる答えに〇を付けましょう。
それぞれの質問には時間をかけず、直感で答えて下さい。 - 全て答え終わったら、A=0点、B=1点、C=2点、D=3点として合計点を計算します。
- 合計が16点以上の人は、うつ病の疑いがあります。
全くない | 少しある週1~2日 | 時々ある週3~4日 | よくある週5日以上 | |
普段は何でもないことが煩わしい。 | A | B | C | D |
食欲が落ちた | A | B | C | D |
家族や友人から励まされてもツラい | A | B | C | D |
他の人と同じくらいの能力はあると思う | D | C | B | A |
物事に集中できない | A | B | C | D |
気持ちが沈む | A | B | C | D |
何をするのも面倒だ | A | B | C | D |
先のことをポジティブに考えられる | D | C | B | A |
過去のことをくよくよ考える | A | B | C | D |
恐ろしい気持ちや不安を感じる | A | B | C | D |
なかなか眠れない | A | B | C | D |
とりたてて生活に不満はない | D | C | B | A |
会話が減った・口が重くなった | A | B | C | D |
ひとりぼっちだと思う | A | B | C | D |
周りの人がよそよそしい | A | B | C | D |
毎日が楽しい | D | C | B | A |
急に泣きたくなることがある | A | B | C | D |
悲しいと感じる | A | B | C | D |
周りの人に嫌われていると思う | A | B | C | D |
仕事が手につかない | A | B | C | D |
うつ病セルフチェックの注意点
このセルフチェックで分かるのは、あくまでうつ病の疑い。
あなたが本当にうつ病かどうかを知るには、医師の診断を受ける必要があります。
セルフチェックの合計点が16点以上の人や症状が改善しない人は、ぜひ病院に行ってください。
うつ病の人がとるべき行動
うつ病の人がとるべき行動は、次の2つだけ。
- しっかり休む
- 病院に行く
この2つは、うつ病の人にとって命を守る最も重要な仕事です。
「休息」と「通院」以外の行動は、全て後回しにしましょう。
通院より仕事を優先するのは、うつ病の人が絶対にしてはいけない行動です。
うつ病の人を診てくれる病院
うつ病を診てくれるのは、診療科目に「精神科」の名前があるクリニック。
特に症状が重い人は、精神科の専門医が診てくれる病院がおススメです。
きちんと診てくれる病院は多いものの、中には良くない医者もいます。
次の条件に当てはまれば、病院の経営がうまくいっていない可能性も。
- あまり話を聞いてくれない
- 薬の服用や副作用の説明不足
- 治療についての説明がない
- 質問に答えてくれない
- 一度にたくさんの薬を出す
- 初診で3種類以上の抗うつ剤を出す
- 薬以外の治療法を知らないようだ
お医者さんとの相性もありますので、自分にあった病院を選ぶようにしましょう
うつ病の人がとってはいけない行動
うつ病の人がやってはいけないのは、忍耐や謙虚さなど日本人の美徳のような行動。
- うつ病をがまんする
- 一人で悩む
- 自分を責める
など、一人で悩んで受診が遅れれば、それだけうつ病の回復は遅れます。
自分を責めて、生きることをあきらめてしまう方もいます。決してうつ病を甘く見てはいけません。
うつ病に忍耐や根性は効果ナシ!
だまって耐えることが美徳だと思われがちな日本の空気。
ただ、うつ病の人にとって耐えることは、症状をこじらせる原因でしかありません。
一時的に状態が良くなっても、頑張りすぎるとスグに悪化するのがうつ病。
うつ病の人がやるべき行動は、あくまで休息と時間をかけた治療です。
うつ病は一人で悩むと悪化する
うつ病を疑っていても、精神科の受診をためらう人も多いようです。
「精神科」に抵抗を感じる人が多いのは、過去の隔離政策の影響でしょう。
そんな過去のバイアスに惑わされず、うつ病の治療を優先して下さい。
精神科の通院は決して恥ずかしいことではありません。
うつ病は治療を受ければ回復しますが、治療が難しくなり仕事復帰も遠のきます。
うつ病が自分を責めている
うつ病の人がよく口にする「自分はダメだ」という言葉。
自分を責めているようですが、実はうつ病が人にそう言わせているだけ。
うつ病で心が疲れてしまうと、正しい判断ができなくなるから出てくる発言。
自分がダメだと思うのは、うつ病で鈍った判断力が脳を騙しているんです。
うつ病で仕事を休んでいる人がとるべき行動
うつ病で仕事を何日も休んでしまうと、職場の人に顔向けできないと思うはずです。
真面目な人が多いと言われるうつ病の人は、そのまま出社できなくなる人も多いでしょう。
ただ、そのまま退職してしまえば、さらにお金の不安が増えるだけ。
うつ病も含めて病気で仕事を休むなら、とりあえず休職扱いにするのがおススメです。
- まずは休職扱いにする
- 病院でうつ病の診断書をもらう
- 手当やサポートを受ける
- 仕事復帰を焦らない
うつ病の人も休職が認められる
うつ病は怠けや甘えではなく、れっきとした病気。
病気で一定期間仕事を休む場合、条件を満たせば手当が出ます。
うつ病の原因が仕事かどうかで、次のどちらかの手当が下りる仕組みです。
- 仕事以外の原因⇒傷病手当
- 仕事に関わるストレス⇒労災
ただ、傷病手当と労災を同時に受け取ることはできません。
詳しくは、職場の人事課にたずねるか下記のURLを調べてみましょう。
病気や怪我で会社を休んだとき(傷病手当金)-全国健康保険協会
仕事上のトラブルでうつ病になった人は…
うつ病を疑う前に、仕事上のトラブルに巻き込まれた人はいませんか?
次の条件に当てはまる人は、労災が下りる可能性があります。
- 月45時間以上の残業が6ヵ月以上続く
- 怒鳴る・暴言を吐かれる
- 職場で嫌がらせを受けている
当てはまれば、過重労働やパワハラかもしれません。
これらは、うつ病以外にも重大な病気を引き起こす原因になりえます。
場合によっては、労災や損害賠償の対象にもなるでしょう。
気になる人は、厚生労働省のHPを調べてみて下さい。
傷病手当を労災に変更することは可能
うつ病になる人の原因は複雑で一つではありません。仕事が原因でうつ病になっても、証明するのは難しく時間もかかります。
うつ病の人が労災を申請しても、必ず労災が認められるとは限りません。
仮に認められるとしても、手当が下りるまで時間もかかります。
ただ、傷病手当を途中で労災に変えることはできます。
とりあえず傷病手当を受けて、労災が認められたら変える方法が無難でしょう。
病院でうつ病の診断書をもらう
うつ病で仕事を休んだ人が手当を受けるには診断書が必要です。手当金をもらうためにも病院に行くことは欠かせません。
精神科への抵抗感と手当金、あなたはどちらを取りますか?
うつ病の回復と手当金を合わせたら、精神科に通わないのは損でしょう。
うつ病の診断書があれば受けられるサポート
うつ病の診断書があれば受けられるのは手当金だけではありません。
医師の診断によっては、次のサポートも受けられます。
- 仕事復帰に向けたサポート
- 生活や就職の相談
- うつ病に理解のある就職先の紹介
最近では働くうつ病の人を支える仕組みが増えています。仕事を長く休んでいると不安になりますが、うつ病が回復すれば再び働くことも可能。
まずは治療に専念して、サポートを活用しながら少しずつ日常を取り戻すのがおススメです。
うつ病が落ち着いた人がとるべき行動
医師の診断を受けて、うつの底を抜け始めた人がとるべき行動は次の通り。
- 生活リズムを整える
- 医師の指示通りに薬を飲む
- 定期的な通院を欠かさない
- 仕事復帰のサポートを受ける
うつ病の治療は時間がかかるものです。
症状が落ち着いても自己判断で薬の服用や通院をやめてはいけません。
少し良くなったからと油断すれば、すぐ再発してしまうのがうつ病の怖いところです。
うつ病の人が仕事に復帰するには
うつ病は、きちんと治療すればツラい症状は落ち着きます。
ただ、仕事復帰を焦れば再発のリスクもあるんです。
うつ病を再発させないためには
- リワークプログラム
- 就労移行支援
などに通って、仕事復帰のための準備を整えるのがおススメです。
これらの施設では、うつ病を避ける行動が身に着くプログラムが訓練を受けられます。
仕事復帰は、焦らず専門家と相談しながら行うのが成功のカギでしょう。
まとめ
うつ病の人が真っ先にとるべき行動は、十分な休息と医師の診断です。
反対に、うつ病の人がやってはいけない行動は一人で悩むこと。うつ病は心がけの問題ではなく、あくまで脳の機能のトラブルです。
治療を受けなければ、うつ病は命の危険も伴う病気。早期発見・早期治療が何より大切な行動です。
精神科に通うのは、決して恥ずかしいことではありません。
適切な治療やサポートを受ければ、うつ病の人も仕事に戻ることができます。
参考:厚生労働省