障害年金と生活保護は同時受給できるの?デメリットはある?

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障害年金 生活保護 同時受給
  • この先働き続けることができるか心配
  • 傷病手当金の支給期間が終わりそう・・
  • 障害年金と生活保護は同時受給できるのかな?

このような悩みや疑問をもつ方も多いのではないでしょうか?

特に心の病気は体調に波があるため、調子が悪くなったときの生活を考えると不安になりますよね。

そんな方のために、この記事では生活保護と障害年金の支給要件や相談窓口、障害年金と生活保護を同時受給する際の注意点などについてご紹介します。

障害年金や生活保護について知っておくと先の不安も軽減されるため、ぜひこの記事をご覧いただき、各制度を有効活用していただければと思います。

この記事を書いた人

精神保健福祉士社会福祉士のメントスです。

これまでに、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)と就労移行支援事業所で障害のある方の就労をサポートしてきました。

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障害年金とは

障害年金とは、公的年金に加入している人が障害年金の対象となる病気やケガにより仕事や生活が制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。

対象となる主なものは下記になります。

1.外部障害
  眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
2.精神障害
  統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
3.内部障害
  呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

日本年金機構

生活保護とは

そもそも生活保護がどのような制度か知らない人もいるかと思います。そこでこの項では、生活保護制度についてご紹介します。

生活保護とは、生活に困っている人が「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるように国が定めた制度で、自立を助けるという目的があります。住んでいる自治体が申請先です。

生活保護は、収入や資産、能力など、あらゆるものを活用しても生活が困難な場合に、足りない分を補う制度になります。そのため、収入や資産の申告が必要です。

収入例
資産の例
  • 給料
  • 年金
  • 手当
  • 仕送り など
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 土地・家屋
  • 自動車・バイク
  • 保険の解約返戻金 など

能力の活用とは簡単にいうと、働くことができる人は働いてお金を稼ぎましょうという意味です。

「働くことができる人」というのがポイントになります。たとえば、病気やケガにより医師が就労困難と判断した場合は、働くことは絶対ではありません。まずは生活保護で体調と生活の立て直しを図ります。

他法優先

あらゆるものの活用とは、生活保護以外の制度で使えるものは優先的に活用してくださいねという意味で、たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • 年金(障害年金、老齢年金等)
  • 手当
  • 給付金
  • 免除・助成 など

ですので、障害により働くことが困難になった場合、障害年金の受給要件を満たしていればまずは障害年金を受給し、さらにあらゆるものを活用しても最低生活費に満たない分を生活保護費でまかなうといった形になります。

扶養照会とは?

あらゆるものの活用の中には、親族からの援助も含まれます。扶養照会という言葉だけは知っているという人もいるかもしれませんね。

扶養照会とは、親族に対して本人へ仕送りなどの援助ができないかを確認するものです。

原則としては親、祖父母、兄弟姉妹、子どもなど、民法上の扶養義務者に対しては扶養照会が行われます。しかし、DVや音信不通など特別な事情がある場合は、扶養照会は行われません。事情があり、親族への扶養照会にためらいがある人は、最寄りの福祉事務所で相談してみましょう。

障害年金と生活保護は同時受給できるの?

結論からいうと、障害年金をもらっている人も、生活保護を受給することが可能です。ただし、障害年金を受給している人の生活保護費は、障害年金を差し引いた額になります。

障害年金分のお金を差し引かれると聞くと、損すると考える人もいるかもしれませんね。しかし実際には、生活保護のみ受給する場合と、障害年金と生活保護を同時受給する場合とでは、もらえるお金は同額になります。

生活保護は、国が定める最低生活費の足りない分を補う制度です。そのため、障害年金などの収入は申告をする必要があり、生活保護費は申告された収入を差し引いた額が支給されます。

もらえる総額は変わりません
最低生活費
生活保護のみ受給(年金等なく全額生活保護)
障害年金
生活保護(最低生活費に満たない分)

生活保護費 = 国が定める最低生活費 - 収入(障害年金、給料など)

生活保護のみ受給する場合と同時受給する場合とでもらえる金額が変わらないのなら、障害年金を申請する必要はないのでは?と思う人もいるかもしれませんね。
しかし、生活保護を受けている人が障害年金を受給する場合は、障害者加算がつく可能性があるため、障害年金を申請することは意味があるといえます。障害者加算とは何か分からない人もいると思いますので、少し説明を加えますね。

障害者加算とは?

障害者加算は、一定の障害が認められた人に対し、生活保護費に上乗せされるお金のことです。障害者加算の額は、住んでいる地域や障害の程度により異なりますが、15,000~26,000円が目安になります。対象者は以下の通りです。

  • 障害年金の1級または2級に該当する方
  • 身体障害者手帳の1級、2級、3級のいずれかに該当する方

上記に該当していれば生活保護費に加算がつくため、障害年金と生活保護の同時受給はメリットがあるといえます。

ここで、同時受給にデメリットはないの?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。そこで次の項では、障害年金と生活保護を同時受給することのデメリットについて解説したいと思います。

障害年金と生活保護を同時受給するデメリット

障害年金と生活保護を同時受給するデメリットは、ないと考えて大丈夫です。

ただし、生活保護を受給している人が障害年金を遡及申請する場合は、注意する必要があります。なぜなら遡及請求が認められ、まとまったお金が入ってきた場合、生活保護費を返還しなければならない可能性が生じるからです。

遡及請求する場合は注意が必要

遡及請求とは、障害年金がもらえたはずの期間に、未受給だった人が申請できるものです。遡及請求が認められた場合、遡ってもらい損ねた期間の年金を受け取ることができます。遡及期間は5年。遡及が認められた期間については、初回の年金支給時に一括で受け取ることになります。

ここで注意しておきたいことは、初回支給の際にある程度大きな金額を受け取ることになった場合です。生活保護は、最低限の生活に足りない分を補う制度ですので、ある程度まとまったお金が入ってきた場合は、これまでの生活保護費を返還する必要がでてきます。

また、障害年金の支給額が国の定める最低生活費よりも高い場合は、保護の対象外となるため、生活保護の申請が通らなかったり、保護が廃止となったりします。

生活保護の対象にならないと聞くと、障害年金を受給するとデメリットが大きいように感じるかもしれませんが、そうではありません。

生活保護を受けることで資産の保有や住まいに関しても制限がありますので、制限なく生活できることは良いことともいえるでしょう。

どのような社会資源を利用したら良いか、またどのような働き方が可能か等の相談先がわからない場合は、まずはお住いの自治体の福祉担当窓口に問い合わせると良いでしょう。(区役所や市役所に問い合わせると担当課につないでもらえます。)

相談内容に合わせてさらに相談先を紹介してもらえますので、問い合わせてみて下さいね。

障害年金の申請方法

これから障害年金を申請するという人もいるかもしれませんね。そこで最後に、障害年金の支給要件や相談窓口をご紹介したいと思います。

障害年金とは、病気やケガにより仕事や生活が困難となった場合に受給できる年金です。障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つの種類があります。初診日に国民年金に加入していた人は障害基礎年金、厚生年金に加入していた人は障害厚生年金を受給することが可能です。支給額は、初診日に加入していた年金の種類や障害の程度により異なります。

障害年金を受給するには、①納付要件 ②初診日の要件 ③障害認定日の要件 の3つをクリアする必要があります。まずは、納付要件から確認していきましょう。

障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
                                      引用:障害年金|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

上記は、日本年金機構のHPに掲載されている障害基礎年金の納付要件です。障害厚生年金の納付要件は、障害基礎年金と同様です。

要件の2つ目、初診日については以下の通りです。なお初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日のことをさします。

  • 初診日に国民年金または厚生年金の被保険者であること
  • 初診日が20歳前であること、または60歳以上65歳未満の年金未加入期間であること

最後の要件は、障害認定日です。障害認定日に一定以上の障害状態である必要があります。障害認定日については、下記の通りです。

  • 初診日から1年6か月経過した日
  • 傷病が治った日

年金制度は難しいですよね。ここまで読んだけど、よく分からなかった・・と不安になった人もいるかもしれません。

しかし、理解できなくても大丈夫です!年金については、近くの年金事務所年金相談センターで確認できますので、安心してください。相談の際は、年金手帳などの基礎年金番号が分かるものや、本人確認証を持参しましょう。年金相談は混んでいる場合もあるため、事前に予約をしておくと良いですよ。

障害年金と生活保護の同時受給に関するまとめ

いかがでしたか?

障害年金を受給していても生活保護を受けることが可能です。ただし、障害年金の遡及申請が認められ、まとまったお金が入った場合は、生活保護費の返還が求められるケースもあることを覚えておきましょう。

障害の影響で体調に波があると、いろいろと不安になりますよね。しかし、今回紹介した障害年金や生活保護以外にも様々な制度や社会資源がありますので、心配しなくても大丈夫です。引き続きこのコラムでは、有益な情報を発信していきますので、使える制度や社会資源を有効活用し、より自分らしい生活を見つけていただければと思います!


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