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発達障害の人は「障害年金もらえない人」「障害年金落ちた」って本当?

障害年金が受給できたら、今よりも生活にゆとりができて安心ですよね。しかし、「発達障害だと障害年金をもらうのは難しい」「仕事をしている人は対象にならない」と思い、障害年金の手続きをされていない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、障害年金の申請をしたいけれど、自分が対象になるのか分からず手続きをしていないという人にぴったり!障害年金の受給条件や申請の際のポイントなどについて分かりやすく解説します。

ぜひこの機会に、自分が障害年金の対象となり得るのかをチェックしてみてください。

メントス

今回は精神保健福祉士で、これまでに2つの就労支援機関で障害のある方の就労をサポートしてきたメントスが記事を担当しています。

発達障害の人は障害年金をもらえない人なの?

発達障害の人は障害年金がもらえないというのは、本当なのでしょうか?

答えはNOです!

発達障害の人も障害年金を受給することができます。ただし、全ての発達障害の人が障害年金を受給できるわけではありません。

また、仕事をしていると障害年金をもらえないと思っている方もいるのではないでしょうか。しかしこれも誤解です。実際には仕事をしていても障害年金を受給できる場合があります。

それでは、障害年金をもらえる人ともらえない人にはどのような違いがあるのでしょうか?

次の項では、障害年金を受給するための条件を解説します。

発達障害の人が障害年金を受給するための3つの条件

障害年金を受給するためには、①障害等級  ②初診日  ③保険料納付期間  の3つの条件をクリアしていることが必要です。各要件について詳しくみていきましょう。

障害等級の要件

障害年金を受給するための一つ目の条件は、障害等級に関する要件です。障害認定日に、障害の状態が1級、2級、3級のいずれかに該当していることが必要です。

障害認定日とは、初診日から1年6か月を経過した日のことをいいます。障害年金は、障害認定日以降に申請することが必要です。

また、障害基礎年金と障害厚生年金では、障害等級の種類に違いがあります。障害基礎年金の等級は、1級と2級のみです。一方、障害厚生年金は1級、2級、3級があり、更にいずれにも該当しない場合は、障害手当金という一時金を受け取れる可能性もあります。

各等級の認定基準については、後ほど詳しく解説しますね。

初診日の要件

二つ目の条件は、初診日に関する要件です。初診日とは、障害と関連する症状で初めて病院を受診した日のことをいいます。障害年金を申請する際は、初診日に次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

  • 初診日に国民年金または厚生年金の被保険者であること
  • 20歳未満の人
  • 60歳以上65歳未満で国民健康保険の被保険者であった人

※ 60歳以上65歳未満の人でも、老齢年金の繰り上げ受給をされている場合は、障害年金を受給できない可能性があります。

  

また、発達障害以外に知的障害や他の精神障害がある人は、初診日に注意が必要です

知的障害がある発達障害の人は、知的障害の初診日である生まれた日が初診日となります。ただし、知的障害の3級に該当しなかった場合は、発達障害関連で初めて病院を受診した日が初診日となります。

発達障害の診断を受ける前に他の精神障害の診断を受けていた場合は、一般的には精神障害の関連で初めて病院を受診した日が初診日となります。

初診日を証明する資料となるものが、「受診状況等証明書」です。ただし、これまで他の病院を受診したことがない場合は、受診状況等証明書は必要ありません。診断書のみで大丈夫です。

過去に他の病院を受診している場合は、初診の病院で受診状況等証明書を作成してもらう必要があります。病院によっては作成までに1か月以上時間を要することもありますので、早めに依頼しておきましょう。

また、病院が閉院していたり、カルテの保存期間である5年が経過しており、初診の証明が難しい場合も少なくありません。

初診の病院で証明が取れない場合は、「受診状況等証明書を添付できない申立書」を作成します。併せて、受診状況を証明する資料が必要です。たとえば、初診の病院でもらった紹介状や診察券、当時のお薬手帳などが参考資料として挙げられます。

納付要件

最後の条件は、保険料の納付要件です。障害年金を受給するためには、初診日がある月の前々月までに、保険料を納めていた期間と保険料の免除を受けていた期間の合計が、2/3以上あることが必要となります。

保険料納付済み期間 + 保険料免除期間 → 2/3以上

また、保険料の納付期間が2/3以上ない場合には特例があり、初診日がある月の前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ、納付要件を満たしていることになります。

20歳前に障害がある場合の要件

20歳前に発達障害の診断を受けていた場合は、納付要件はありません。なぜなら、国民年金の加入義務が生じるのは20歳からだからです。ただし、20歳前から仕事をしていて厚生年金に加入していた場合は、通常通り納付要件が必要ですので、注意してくださいね。

また、20歳前に発達障害の診断を受けた人が障害年金を申請する場合は、納付要件がない代わりに所得制限があることを覚えておきましょう。

20歳前に初診日がある人の障害認定日については、下記の通り二つのパターンがあります。

  1. 20歳のときに初診日から1年6か月を経過している場合

   →障害認定日は、20歳

  1. 20歳のときに初診日から1年6か月を経過していない場合

→障害認定日は、初診日から1年6か月を経過した時点

 

さて、ここまで発達障害の人が障害年金を受給するための条件について解説してきました。次の項では、障害年金の認定について詳しくご紹介します。

発達障害の認定基準

障害年金の等級は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づき認定されています。下記は、障害認定基準に記載されている発達障害の各等級にあたる状態像です。

1級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの 

2級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

3級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

    引用:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

ここで、等級を認定する際に考慮される事項について解説したいと思います。

たとえば一般雇用の人でも、職場で援助や配慮を受けている場合は、就労に制限がある状態と言えますよね。このように、仕事をしていても就労や日常生活に制限がある場合は、障害年金を受給することが可能です。

就労に関しては、下記の事項が考慮されます。

  • 仕事の種類や内容
  • 就労状況
  • 職場で受けている援助の内容
  • 他の従業員との意思疎通 など

発達障害の人は、就労のみならず日常生活でも様々な困難を抱えているかと思います。たとえば、時計やエアコンなどの小さな音が気になり眠れなかったり、光に敏感で日中の外出に支障があったりなど、生活が制限されてしまうことも少なくありません。

このように発達障害特有の症状により日常生活に支障が生じている場合なども、認定の際に考慮されます。

障害の状態を判断する大事な資料となるものが、「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」です。

診断書は医師に作成を依頼しますが、病歴・就労状況等申立書は自分で記入する必要があります。

病歴・就労状況等申立書を作成する際は、日常生活や仕事における困難状況を詳しく記述することがポイントです。 

たとえば、職場で人と話をする際に手が震えてしまう、音に敏感で集中しずらいため、静かな環境で作業をさせてもらっている、ヘルパーや訪問看護の援助を受け、なんとか一人暮らしができているなど、配慮や援助を受けている状況や、困難に感じていることを具体的に記述しましょう。

また、診断書の内容と整合性を図ると信憑性が高まりますので、作成の際に意識してみてくださいね。

発達障害の人が障害年金をもらう条件まとめ

障害年金をもらう条件

  • 発達障害で障害年金を受給するためには、①障害等級の要件 ②初診日の要件 ③納付要件 に該当している必要がある
  • 障害年金の申請は、初診日から1年6か月を経過した時点で可能となる(20歳前障害は例外あり)
  • 一般雇用でも配慮や援助の状況により、障害年金を受給できる可能性がある
  • 病歴・就労状況等申立書は、仕事や日常生活での困難状況などを詳しく記述する

    いかがでしたか?

    障害年金がもらえたら、その分生活にゆとりが生まれて安心できますよね。また、障害年金で生活費を補いながら、無理のない範囲で就労することも可能となります。

    年金制度は複雑なため、今回の内容が理解できなくても問題ありません。納付要件や申請方法で分からないことがあれば、年金事務所やお住まいの自治体の年金担当課に相談してみましょう。

    また、初診日を証明する資料がない場合や、一度手続きに失敗してしまった人などは、申請のハードルが上がりますので、社会保険労務士などの専門家に作成を依頼するのも一つの手です。なお、初回相談は無料で行なっている事業者もありますが、その後は有料となることを理解した上で相談すると良いですよ。

    障害年金は生活の安定に役立つ制度ですので、要件に該当している方はぜひ、有効活用していただければと思います!

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