発達障害でマルチタスクが苦手な人が求めるべき合理的配慮と自己対処法

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マルチタスク 合理的配慮
  • 複数のタスクを同時に進められない・・
  • 優先順位がつけられずどれも締め切りに間に合わない・・
  • どんな工夫をして仕事をこなせばいいかわからない・・

障害の有無にかかわらずシングルタスクの方が仕事がしやすい人も多いですし、一概にマルチタスクができるから仕事ができるというわけでもありません。

ただ、マルチタスクを行えずに仕事をするのを辛く感じてしまったり、周囲との連携が取れず仕事を進めることができないといった場合は工夫が必要ですよね。

最近は発達障害が原因で仕事に支障を感じている方からの相談をうけることも多くなってきました。

今回は、発達障害の人がマルチタスクが苦手だと言われる理由や、必要な合理的配慮自己対処法について解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事を書いた人

公認心理師のサイトスです。

現在は複数の企業でメンタルヘルス関連の研修やカウンセリングを行っています。仕事を継続することに困り感のある方と一緒に、一人ひとりに合った働き方を考えサポートしています。

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発達障害の人はマルチタスクができない?

発達障害の人が社会に出て困りやすいことのなかに「咄嗟の出来事に対応する」「同時進行する」があります。

自分では気を付けていても、なかなか上手くいかず、どう対処すれば良いかわからないという人も多いですよね。

この状況は決して、あなたのせいではありません。

発達障害」という言葉は、ここ数年でとても有名になりました。

しかし、どんな困り感を抱えていているか、どんな症状があるかなどは知らない人の方が多いかもしれません。

発達障害の中でも「注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)」に当てはまる人はマルチタスクが苦手だと言われています。

それは一体なぜなのでしょうか?

興味関心が様々なところに向きやすいから

ADHDの人は発想力が優れているという良い部分があります。その発想力がある理由の一つが、興味関心が強く、様々なものに気が向きやすいことです。

良い面もありますが「これもあれも」と関心が移りやすく、集中力が途切れる傾向もあります。

関心が移り、集中力が途切れることは「注意散漫」な状態と言われています。

注意散漫になることで、さっきまでやっていた別の作業が手につかなくなると言われているのです。

マルチタスクは、複数のことを整理しながら作業を同時進行することですよね。

ADHDの人は、そのような理由からマルチタスクが苦手だと言われています。

聞いて覚えることが苦手だから

ADHDの人は、聴覚情報(会話や口頭の指示など)を他の人よりも記憶にとどめておくことが苦手です。

特に職場の場合、上司の指示を聞く、お客様や同僚との会話、電話対応など「耳を使うマルチタスク」の場面が多いでしょう。

社会人になってから困ることが増えるのは「聴覚情報」を記憶することが苦手なところにあります。

整理や片付けが苦手だから

ADHDの人は片付けや整理整頓が苦手です。

マルチタスクは部屋の片付けとは一見違うように思えますが、頭の中の「整理整頓」がカギになります。

優先順位を決め、何から始めるかなどを考えながら行動しなくてはならない場面はADHDの人が最も苦手とすることかもしれません。

発達障害の人に必要な合理的配慮

「合理的配慮」とは、障害のある人とない人の人権に障害がないよう、一人ひとりの特徴や状況によって生じる障壁をなくすための調整や変更のことです。

平成28年4月に「障害者の雇用の促進等に関する法律」が施行され、障害者であることを理由にした不当な差別が禁止(義務化)されました。

では、マルチタスクに関してどんな合理的配慮が必要なのでしょうか?

事前に伝える・予定変更を極力行わない

ADHDを含む発達障害の人は、急な変更が苦手です。

この場合の必要な合理的配慮は「事前に伝えること」。

ADHDの人と自閉症スペクトラム障害の人では同じ発達障害でも臨機応変な対応が苦手な理由は異なりますが、どちらも時間や期限に余裕を持った事前説明は必要です。

文字でも明確に伝える

マルチタスクが苦手な理由で解説したようにADHDの人は「聞いて覚えること」が苦手です。

また、自閉症スペクトラム障害の人は曖昧な指示が苦手です。指示の詳細はメールやチャット、指示書など「文章」で伝えましょう。

発達障害の人はマニュアルなどの手順がわかる書類があると安心します。互いに同じやり取りでストレスをためるまえにマニュアルの作成がおすすめです。

1つ1つ作業できる環境調整

そもそもマルチタスクになる場面を減らすことも必要です。

一つの作業が終わったら、次の作業の指示を出し、一つ一つ作業できる環境を作りましょう。

その際、期日を明確に伝えることや気軽に相談していい状況づくりもできると、発達障害の人は安心して仕事ができます。

自己対処法もやってみよう!

発達障害の人は、苦手なことが多いと思いやすく落ち込みやすいです。自分でもできることに取り組むことで、できることが増やし自信を付けましょう。

合理的配慮でも解説した「1つ1つ作業をする」ことは自分でも取り組みやすいです。作業の細分化をしてみましょう。

例えば、「17時までに提出する書類がある」「○○さんに14時に電話をする」という2つの予定があったとします。

2つの予定に見えますが、進め方や所要時間は違いますよね。

その際に1つの作業にかかる工程や時間を考える「細分化」を行います。

例1●17時までの書類

・調査をする1時間
・要約する30分
・わかりやすい構成を作る30分
・実際に書類を準備する1時間

所要時間3時間

例2●14時に電話をする

・電話の内容を確認する5~10分
・電話をかける10分
・必要に応じて記録や報告10分

所要時間30分

この場合、書類を提出するためには遅くても14時には取りかからないと間に合いません。

しかし、電話をする必要もあります。

あらかじめ書き出しておくことで、どの作業を優先して行えばいいかを可視化できます。メモをする癖もつけやすく、周りにも「メモをする人」と認識されて、口頭指示もゆっくり言ってもらえる場合もあるかもしれません。

マルチタスクに関するまとめ

今回は発達障害の人のなかでも、特にADHDの人向けの記事でした。

しかし、合理的配慮や自己対処法は自閉症スペクトラム障害(ASD)の人の参考にもなるでしょう。

自分で出来ることを行いながら、周りにも上手にヘルプを出し、長期的に働ける環境を作っていきましょうね。

また自分ひとりでは取り組みにくい方には就労移行支援を利用することもおススメです。

就労移行支援を利用したトレーニング

就労移行支援のトレーニングの中には障害理解や自己理解を深めるプログラムがあります。

自分の苦手なことを客観的に把握したり、それに対する自己対処法を知ることで、これまで苦手だった業務に自分なりに対処をすることや、合理的な配慮を求めることができるようになりますよ。

就労移行支援はほとんどの方が無料で利用されていますので、気軽に見学に行ってみましょう。

就労移行支援事業所選びに失敗したと感じている利用者の声で多く聞かれるのが「事業所の雰囲気が自分には合わなかった」「自分の受けたいプログラムがなかった」「障害の特性を考慮してくれなかった」といったものです。

就労移行支援事業所は、自主的な活動を中心とした所から、障害の特性に合わせた個別サポートを強化している所まで様々。事業所選びに失敗しないためには、「自分の通える範囲にどんな事業所があるのか」をしっかりと調べることが重要なのです。

就労移行支援は原則2年しか利用できないサービスなので、事業所選びに失敗したくはありませんよね。

資料請求や、見学を行って事業所を比較するところからはじめてみましょう。

2分で資料請求完了です

就労移行支援 よくある質問

一般就労を希望する障害のある方へ、就労に必要なスキルを身につけるためのプログラムを提供し、就職活動、職場への定着支援を行う福祉サービスになります。
障害者手帳を持っていない方でも、医師の診断や定期的な通院を行っていれば、利用可能な場合があります。
事業所によっても違いがありますが、週1回から通えるところも多いです。生活リズムを整えながら無理のない範囲で通い始め、様子を見ながら就労にむけた準備を整えていきましょう。 専門的なスキルの取得を目指す場合などは、ある程度の通所回数が決められている場合もあるので確認しましょう。
利用料金は世帯所得(本人と配偶者)に応じて、「負担上限月額区分」が決められています。
区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(注1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 9,300円
一般2 上記以外 37,200円
現在の状況やご希望によって様々ですが、早い方で半年ほど、じっくりと時間をかけてトレーニングしたい方やスキルの習得を目指す方は1年半~2年通われています。 すでに就職の準備が整っており、早期の就職を考えている方は転職エージェントをお勧めします。障害者向け 就職・転職エージェントおすすめ6選
原則として2年間です。 就労移行支援を1年間利用して就職後、離職。再び移行支援を利用する場合は残りの1年を利用できます。 場合によっては1年の延長が許可されることもあるので、まずは相談することが大事ですね。
コミュニケーション、障害理解、自己理解などの講座。ビジネスマナー、PCスキル、企業実習などの就労に必要なスキルを身につけるためのプログラム。応募書類の作成、面接練習など就活に必要な対策など多岐にわたったトレーニングがあります。 事業所によって強みが違うので複数の事業所に見学に行きしっかりと選びましょう。 タイプ別 就労移行支援ランキング
障害の特性として通勤がハードル高く感じる方もいるでしょう。在宅訓練可能な事業所も増えてきています。 事業所に確認することをおすすめします。
昼食の補助がある事業所もあります。 事業所によりますので確認してみましょう。 【東京】昼食提供・交通費補助あり!のおすすめ就労移行支援事業所
原則的には就労移行支援は働くために必要なトレーニングやサポートを受ける場ですので、すでに仕事をされている在職中(休職中)の方は利用できません。 ただし、自治体や事業所が支援が必要と認めてくれれば利用が可能です。例外の対応ですのでハードルは高いと言えます。 在職中の方で転職を考えている方は障害者向けの転職エージェントの利用も検討しましょう。 就職・転職エージェントおすすめ6選

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