「いざ自分が必要になるまで知らなかった!」と言われることの多い【傷病手当金】ですが、病気やケガなどで仕事を休職せざるを得ない時、頼りになる制度です。
傷病手当金ってどんな制度?もらえる条件は?いつまでもらえるの?など知らない方が多いかも知れません。
また、うつ病で休職中も傷病手当金はもらえるのでしょうか?気になりますよね。
この記事では傷病手当金についての疑問をわかりやすく説明しています。
発達障害とうつ病の診断で障害者手帳を取得している当事者です。休職中、傷病手当金に本当に助けられたピアトスがこの記事を担当しています。
傷病手当金とは
傷病手当金とは、業務外での理由によって療養せざるを得ない時に支給される助成金です。
社会保険に加入していれば支給対象となるため、正社員雇用のみではなくパート勤務でも対象となる場合があります。
国民健康保険の場合
後期高齢者医療制度を利用している場合
上記に当てはまる場合でも自治体によっては傷病手当金が支給される可能性もあるので、一度問い合わせて確認すると良いでしょう。
傷病手当金の支給条件
厚生労働省によると「業務外の事由による療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、支給される」(令和2年3月26日 第127回社会保障審議会医療保険部会より一部抜粋)と記されています。
待機3日間の考え方
「労務に服することができなくなった日」とは療養のため休暇を取った初日であり、「3日を経過した日から」とあるのは連続して3日間の療養が条件であることを指します。
継続して療養する場合は4日目から、3日間の療養の後に出勤したけれども同一の理由によって出勤日以降の療養が必要となった場合は、4日目以降からの療養期間が対象となります。
給与支払いが発生していないこと
有給休暇など給与が発生している場合は傷病手当金の対象とはなりません。
ただし待機3日間の計算には有給休暇を取得している日も含まれますので、3日以上の有給消化後に傷病手当金を検討する際には有給日数が全て消化された翌日からが傷病手当金の対象となります。
傷病手当金の対象期間は最大1年6カ月
令和4年1月1日より対象期間の考え方が見直され「通算1年6カ月」となりました。
今までは最長1年6カ月として期間中に出勤した日数も期間に含まれていましたが、現在では出勤し給与が発生した日数は1年6カ月の期間に含めないこととなりました。
1年以上の勤務実績があれば退職後も支給される
傷病手当金を受給している間に離職した場合でも、それまでの勤務期間が1年を超えていれば支給対象となります。離職前から傷病手当金を継続して受給していることが条件となります。
傷病手当金の金額
傷病手当金は、おおまかには給与の2/3の金額とされています。
詳細な計算式としては、賞与を含まない毎月の給与を30で割り、1日あたりの金額を2/3とした金額が1日当たりの傷病手当金の金額となります。
共済保険の場合は計算方法が異なりますので、保険者へ確認が必要です。
傷病手当の申請方法
傷病手当金支給申請書の作成、提出が必要となります。
傷病手当金支給申請書は被保険者用、医療機関用、雇用会社用の3種類(4枚)に分かれています。
医療機関によっては作成依頼から完成までに時間がかかることもあるため、早めの準備を心がけましょう。
書類の取り寄せから提出までは個人で保険者へ依頼することもできますが、雇用会社が代行してくれる場合があるため申請については職場と相談することをお勧めします。
うつ病で傷病手当金は受け取れるのか
結論から言えば、取得可能です。傷病手当金には申請条件となる病名の指定はなく、療養のために勤務が出来ないことが条件となります。
再発の際は支給対象となるか
うつ病をはじめとした精神的な疾患の場合、再発のリスクが伴います。
傷病手当金支給から1年6ヶ月の期間内であれば欠勤となった日については傷病手当金の対象となりますが、1年6ヶ月を過ぎてからの再発の場合、同一病名だと支給対象とならない場合があるため注意が必要です。
ただし同一病名であっても前回支給時から治癒し復職した場合や、症状が出ない期間がある場合には病状や原因と思われる事象によって支給が認められることがあります。
医師が記載する申請書の内容や前回治癒した後の病状、就業状況によって保険者が判断することとなります。
業務上発生した理由の場合には労災が認められることも
業務における心労や負担が療養の原因と考えられる場合、労災保険の休業補償給付適用となる場合があります。
その際には労災保険が優先されますが、心理的負担による療養については業務上の負担と認定されるには難しいケースも多くみられます。
業務上の理由と考えられる場合は雇用会社と相談するか、もしくは労働基準監督署へ相談してみましょう。
まとめ
今回は傷病手当金についてまとめ、うつ病をはじめとした精神的疾患でも支給対象となるかを解説しました。
働きたくても働けないといった人達を支援するための制度ですので、療養が必要となった場合は積極的に利用し生活基盤を維持するようにしましょう。
うつ病の再発リスクが高く、復職が難しい場合などは、障害者雇用で配慮を受けながら継続した就労を目指す方法もあります。
障害者雇用枠で採用を検討する場合、障害者手帳の取得が必須です。また障害者手帳取得により、税金の減免や各種障害者割引などメリットも大きいですので一度検討されてみてはいかがでしょうか?