
就労三銃士のひとり、ピアトスは障害者雇用枠で働いている当事者です。
ピアトスは障害者雇用で就労をしたことで、一時は年収がそれまでの半分ほどになり、生活を維持することが出来なくなりました。
そのため、一人暮らししていたアパートを引き払って実家に戻ったり、副業(彼の勤め先は副業がOKだったため)をしたりしながら生活をしていました。
現在は、資格を活かして非正規から正社員に。副業をせず生活ができるようになり、今は一人暮らしをするための貯金をしているそうです。
ピアトスに限らず、障害者雇用によって賃金が下がる人は多いかと思います。
そこでこの記事では、障害者雇用でも生活を安定させていく方法について考えていきたいと思います。
タップできる目次
そもそも障害者枠ってなに?
求人は大きく分けると誰でもが応募することのできる一般枠と障害を持った人が応募することのできる障害者枠(障害者雇用)があります。
障害者枠は障害があれば誰でも応募できるわけではなく、障害者手帳(身体障害者手帳、精神保健福祉手帳、療育手帳)を持った人が対象となります。

障害を公表せず一般枠として働くことをクローズ就労、障害を公表して障害者枠で働くことをオープン(障害者雇用)と呼ぶことが一般的ですが、最近ではまだまだ数は少ないですが障害を公表して一般枠で働くといった選択ができるところも出てきています。
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障害者雇用で生活できる?できない?の基準はどこに?
2020年(令和2年)の家計調査年報(家計収支編)によると単身世帯(平均年齢58.5歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均150,506円となっています。
消費支出項目としては以下があげられています。
食 料
住 居
光熱・水道
総世帯
交通・通信
教 育
教養娯楽
被服及び履物
家具・家事用品
保健医療

障害者雇用でもらえる給料はいくらなの?

次に2021年度の障害者雇用実態調査の結果より、障害者雇用の通常(週30時間以上)賃金は下のグラフのようになっています。


障害者雇用はなぜ低賃金なのか?
次に低賃金である理由について考えていきましょう。
障害者雇用の雇用形態
低賃金の理由の一つは雇用形態です。以下のグラフの通り、どの障害においても正社員の割合が低いことがわかります。
非正規の場合、賞与(ボーナス)が出ない場合や福利厚生が十分に受けられない場合もあり、さらに生活をひっ迫させることにつながるでしょう。
身体障害者の雇用形態
身体障害者の方の約半数が正社員の無期契約で働いているのがわかります。そのため比較的給料も安定している場合が多いです。

知的障害者の雇用形態
知的障害者の方は8割以外の方が正社員以外の雇用形態で働いています。
そのため、就労賃金も一番低い数字となっています。

精神障害者の雇用形態
障害者雇用の精神障害者の方の4人に1人は正社員として無期契約で働いています。
正社員ではありませんが無期契約として継続した就労をしている方が約半数いらっしゃるため、給料も身体障害者に次いで安定しています。

発達障害者の雇用形態
発達障害の方の約2割が無期契約の正社員として働いています。正社員以外の方でも有期契約の割合が多いため、知的障害者に次いで給料も低い結果となっています。

月間総実労働時間が少ない
もう一つの理由は月間総実労働時間が少ないことです。
これは障害に配慮した働き方とも言えるので悪いことではありませんが、収入面に関して考えるとマイナスになってしまいます。
定着率が低く勤続年数が短い
勤続年数とともにスキルも上がり、昇給することも考えられますが、体調不良や特性と業務のミスマッチなどから辞めてしまう人が多い現状があります。
就労定着支援サービスなどを利用して長く勤続できるような工夫も必要ですね。
障害者雇用で生活するためにできること
障害者雇用には収入が低いいくつかの要因があることがわかりました。
収入面だけを考えれば一般枠の方が条件が良いかもしれませんが、職場には障害への理解や配慮がなく仕事を継続することが難しかったり、体調を崩して休職や退職を余儀なくされることも考えられます。
それではさらに生活が厳しくなり本末転倒ですよね。

転職をする
まずは、今よりもっと収入の良い会社へ転職するという方法です。
今の職場ではこの先、昇給の見込みがなく収入アップは難しそう・・。
現在の会社に就職した時よりも体調も良いいので労働時間などを見直してもいいかな。
就労に自信がついたのでステップアップしたい!
そんな時には、転職を検討しましょう。
ただし、仕事をしながら今よりも条件の良い会社を探し転職活動をするのは至難の業です!
体調を崩してしまっては元も子もありませんよね。

転職エージェントとは?

転職エージェントでは、無料でプロのキャリアアドバイザーから就活サポートを受けることができます。
あなたのこれまでの経験や希望を丁寧に聞き取った上で、企業とのマッチングを行ってくれるので安心です。
また、応募書類の添削、面接の練習、転職への手続サポートなどを丁寧に行っていますので、自分一人で行う転職活動よりもスムーズに収入アップを目指した就活をすることが可能です。
転職エージェントの利用をすすめる5つの理由
- 無料で利用できる
- ハローワークなどにはない非公開案件がたくさんある
- 必要書類の書き方や面接などのアドバイスがもらえる
- 希望の条件に合った案件を探し、企業側とのセッティングなどを任せられる
- 就職後のフォローがある
いいこと尽くめのようですが、転職エージェントの中には登録しても案件の紹介がなかったり、連絡がつきづらいなど利用する意味があまりないところがあるのも事実です。
複数のエージェントに登録して、自分に合った案件を選ぶことも大切ですよ。
こちらの記事も参考にしてくださいね。
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おすすめの転職エージェント
- LITALICO仕事ナビ 非公開求人数も多数
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- テックエージェントサーナ ITエンジニアに特化
副業をする
すぐに転職は考えていないという場合は、収入源を増やしましょう。
もちろん就業規則に副業が禁止されていなければの話です。

まずは自宅の空いているスペースを駐車場として貸し出すというもの
これは本業以外の時間にも働くといった負担もありませんし一番のオススメですね。
ただ、誰でも空いているスペースがあるわけではありません・・。

週3日からのリモートで行える案件がありますので気軽に仕事をすることも可能ですね。
それからFoodの配達も人気があります。自転車やバイクを使って空いている時間に配達業務を行うのも気分転換になるかもしれません。
最後は自分のスキルを売るスキルマーケット”ココナラ”です。
特別な資格もないし・・なんて言う方も一度サイトをのぞいてみて下さい。こんなことが収入になるの?なんて分野のスキルもたくさん登録されていますよ。
”恋愛の相談に乗ります”なんてサービスを出品することもできますのでできるそうなことから登録してみるといいかもしれません。
自分の得意なことが収入になるといいですよね。
各種所得保障制度を利用する

こちらは制度によって自分が制度の対象であることが条件となります。
障害年金を受給する
障害年金の対象になる怪我や疾病は様々であるため、障害年金の受給は手帳の保有にかかわりません。
障害のために生活や就労に支障が出た場合に支給され、初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は障害基礎年金に「障害厚生年金」も加算して支給されます。
障害者手帳にも障害年金にもそれぞれ等級がありますが連動はしていないため、サービスを受ける条件や受給条件も異なるので注意が必要です。
障害の程度1級
障害の程度2級
障害の程度3級(厚生年金保険のみ)
等級の内容を見ただけでは自分が障害者年金の受給の対象者かどうかは分かりにくいのではと思いますので申請に関してはこちらの記事を参考にしてくださいね。
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参考障害者年金のデメリットを徹底解説!知らなきゃ損する対策法と注意点!
続きを見る
障害年金は発達障害やうつ病でも申請は可能ですし、働いていても受給はできるんですよ。
・働いていたらもらえないのかな?
・発達障害は対象じゃないでしょ?
・うつ病では申請が通らないって聞いたことがある・・。
こんな情報に惑わされて受給をあきらめてはいませんか?
障害者年金を受給することで生活を安定させることができれば、就労のステップアップも可能かも知れません。
自己判断だけであきらめないで下さいね。
生活保護を受給する
働いていると生活保護の対象外と思っている方も多いのですが、そうではありません。
財産・貯金、扶養義務者の有無などの条件を満たすことが必要ですが、世帯収入が最低生活費を下回る人は、生活保護を申請できます。
ちなみに東京都の場合、最低生活費は13万円に指定されています。
自分が受給条件に該当するかどうか詳しく知りたい方は、自治体の相談窓口に問い合わせてみてくださいね。
参考:相談支援や生活保護などの生活支援のご案内
障害者控除
障害者控除は、本人や配偶者、そして扶養親族に障害がある場合に、所得税、住民税、相続税から一定の金額が控除となる制度です。
さらに障害が重いと判断された場合は、控除額が大きい特別障害者控除を受けられます。
障害者控除について
特別障害手当
精神や身体の重度の障がいによって、常に介護を必要とする方を対象に支給される手当金です。
支給月額は令和2年4月より27,350円となっています。
特別障害手当について
高額療養費・自立支援医療制度を利用する
医療費を抑える制度も積極的に利用しましょう。
高額療養費制度は医療費が高額になった場合、所得によって1ヵ月の自己負担額が一定額以下に抑えられるようになる制度です。
自立支援医療制度についてはこちらの記事に詳しく説明していますので参考になさってください。
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参考精神障害の方が使える自立支援医療(精神通院医療)デメリットは?
続きを見る
まとめ
ここまで障害者雇用では生活が厳しい実情とそれに対する対策について考えてきました。
障害者雇用は、障害へ配慮することにより業務内容が制限されたり、労働時間が短いことなどによって低賃金であることも考えられます。
そのため 障害者雇用=低賃金=デメリット と単純には言えません。
障害をオープンにして働くことは、個人的にはメリットの方が多いと思っています。
ただし、『だれもが正しい情報を手に入れることができ、それぞれの制度も有効に使うことができるのであれば』です。
この『就労三銃士の作戦会議』のサイトが少しでも皆さんの情報収集のお役に立てればと思っています。