- コミュニケーションをとるのが苦手でチームワークを乱してしまう・・
- 仕事の優先順位がつけられず仕事が遅れがちになってしまう・・
- 不注意からミスを連発してしまう・・
発達障害が原因で仕事が続かないと悩んでいる人がいます。
上司からの曖昧な指示が理解できなかったり、集中が続かずミスをしてしまったり、場の雰囲気になじめなかったり、コミュニケーションがとれなかったり・・・自分ではちゃんとやっているつもりでも上手くいかず叱責を受けることで、通勤が辛くなり仕事を辞めてしまう方が多い現状があります。
発達障害の方が仕事を長く続けるのは難しいのでしょうか?また続けるための良い方法はあるのでしょうか?
結論から言えば発達障害の人が就労するにあたって一番重要なのは【自己理解】です。
自己理解を深めることで、自分がどういうことが苦手でどんな工夫が必要で周りにどんな配慮を求めたらいいのかがわかると、仕事を続けやすくなります。
ではその【自己理解】を深めるためにはどうしたらよいのでしょうか?
この記事では、発達障害の人が仕事を継続させるために必要な自己理解を深める方法について書いています。
発達障害者の転職は売り手市場→超売り手市場?
2021年3月より、法定雇用率が民間事業主2.2%→2.3%、国・地方公共団体2.5%→2.6%、都道府県等教育委員会は2.4%→2.5%に引きあがりました。
区分 | 以前 | 2018年 4月~ | 2021年 3月~ |
民間企業 | 2.0% | 2.2% | 2.3% |
国・地方公共 団体など | 2.3% | 2.5% | 2.6% |
都道府県などの 教育委員会 | 2.2% | 2.4% | 2.5% |
また2018年4月1日から、障害者雇用義務の対象として、これまでの身体障害者、知的障害者に精神障害者(発達障害)が加わり、雇用義務化の対象となりました。
さらに雇用を促進するための特例措置として2023年3月まで、障害者雇用率などの算定における「短時間労働の精神障がい者」のカウント数が、ひとり0.5から1に引き上げられています。
企業が発達障害の方の採用に前向きなのには他にも理由があります。
下の障害種類別グラフを見て下さい。
発達障害の人の1年後の定着率は実はとても高いのです。
障害者雇用のネックは定着率の低さにあると言われていますが、しっかりと定着をすることのできる発達障害の人を企業側も大切な戦力として考えているのです。
仕事が継続できる人とそうでない人の違いはなんなのでしょうか?
発達障害の人が就労を継続するためのために必要な準備について考えていきたいと思います。
大人の発達障害とは
発達障害とは事故や病気、環境などから後天的に発症したものではありません。
先天的に脳の構造が違うのです。
なので「大人の発達障害」とは大人になるまで顕在化しなかった、仕事をするようになって困り感が顕著になった等、大人になってから生まれながらにもっていた特性にはっきりと気づいたということになるでしょう。
発達障害者支援法では
自閉症
アスペルガー症候群
自閉症スペクトラム(広範性発達障害)
学習障害
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
その他政令で定められるもの
を発達障害と呼んでいます。
それぞれの発達障害には特徴的な特性がありますが、いくつかの発達障害の特性が重なり合っている人も多く、人それぞれに症状が異なります。
よくある特性としては
・疲れやすく慢性的に体調不良がある
・こだわりが強く、思い込みなどにとらわれることがある
・感覚過敏もしくは感覚鈍麻
・視覚優位で聴覚からの情報が入りにくい
・焦りによるパニックに陥りやすい
などがあげられます。
これらの自分の特性や強みを理解し、しっかりとセルフコントロールすることが出来れば、仕事を継続し、キャリアアップもできるのではないでしょうか
自己理解をするために何をしたらいいの?
自分の強みを仕事上どのように活かしていくか、また企業側にどのような配慮を求めたらよいかなど、
主観だけでなく客観的な視点で【自分のトリセツ】を作ることが転職を成功させるカギとなります。
そう!トリセツを作るために必要なのものが自己理解なのです。
自己理解を深めるには、自分の性格だけでなく、行動や態度などのパターン、道徳観や価値観などを知ることが必要です。
自分は何に対して気持ちが動くのか、ストレスが強くかかった時はどんな行動をとるのか、考え整理していきます。
そして自分の視点だけではなく、他人によるフィードバッグも重要です。
発達障害の人は、他人の視点で考える事が苦手な場合が多いため自分一人で考えるよりも、客観的に見てくれる人や場が必要です。
また他人との違いを知り、お互いを否定せずに受け止めることで、「自分らしさ」を明確にすることができるのです。
では自己理解のためには、どのような場を利用したらよいのでしょうか?
自己理解を深めるために就労支援機関を利用する
就労支援機関は障害者の就労を応援し、サポートする機関です。
ハローワーク
地域障害者職業センター
障害者就業・生活支援センター
区市町村障碍者就労センター
職業能力開発校
就労移行支援事業所
就労継続支援事業所
それぞれの役割を簡単に紹介すると次のようになります。
ハローワーク
13地域のハローワークには「発達障害者雇用トータルサポーター」を配置され、カウンセリングや就職に向けた準備プログラムを実施しています。
また事業主に対して、発達障害者等の雇用に係る課題解決のための相談援助等の業務も行っています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターはハローワークと連携して障害者に専門的なリハビリテーションを提供する施設として全国47都道府県に設置されています。
障害者にはそのニーズに応じて職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職業適応援助等の職業リハビリテーションを行っています。
事業主に対しては雇用管理に関する専門的な助言も行います。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは障害のある人が就業面と生活面の一体的に相談・支援を行うことができる機関です。
現在(2021年)、厚生労働省や都道府県から社会福祉法人やNPO法人に委託され、全国に336センターが設置されています。
職業能力開発校
障害者職業能力開発校では、障害をもつ方が働く上で必要な基礎知識や技術を身につけるための職業訓練を行っています。
全国に、国立機構営校 (2校)国立県営校 (11校)県立県営校 (6校)の合計19校あります。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は社会的なルールやマナー、就労のために必要な知識や技術を身につけるための訓練を行うほか、事業所内、企業内での実習や職場探し、就職支援、就労後の定着支援などを行っています。
これらの就労支援機関を利用する中で
・自分はどのような仕事をしたいのか
・どのような条件、環境で就労したいのか
などの【自分のトリセツ】のページが少しずつ増えていきます。
就労移行支援事業所とは
就労移行支援は最大2年間通うことが出来るので、必要であれば時間をかけてじっくりと就労の準備をすることが可能です。
就労移行支援事業所についてはこちらで詳しく書いています。
そしてプログラム(トレーニング)を通して
ポイント
・自分の何が強みで、苦手なことは何なのかを理解する(自己理解)
・苦手な部分への対策は何かを知る(配慮事項)
・リスク管理の方法を身につける(セルフコントロール)
などの【トリセツ】ページをさらに増やしていくことが出来るのです。
発達障害の人の中には、自己肯定感が低い人や二次障害でうつ障害がある方も多く、自分を見つめなおし、短所とも向き合っていくこの作業はつらいこともあるかも知れません。
自分一人では【トリセツ】を完成させるのは難しい。
しかし、支援者のサポートを受けながら、同じ障害をもつ人と就労という目標に向かってプログラムを受けることで
短所
感情のコントロール
物忘れ
過集中
疲れやすい
長所
集中力
社交的
緊張しづらい
自分の長所、短所を認識し、職場での長所の活かし方や短所への対策などを具体的に考えることができるようになるのです。
就労支援事業所を利用するもう一つの利点は、就労移行支援事業所に通うことで勤怠の安定をはかることができることです。
就労移行支援では就労に向けてプログラム(トレーニング)を行うため定期的に事業所に通う必要があります。
これは実際に就労するに当たっては必要不可欠なことです。
自己理解を深めたり、スキルを身につけても勤怠管理ができないと就労を定着させることは難しくなってしまいます。
就労移行支援事業所では、利用者それぞれの段階に合わせて短時間利用のステップをふむことも可能で、そこから徐々に企業の勤務形態に合わせた形の通所を行っていきます。
発達障害の人におすすめの事業所は?
発達障害の人が通いやすく、自己理解を深めて就労に結びつきやすいおすすめの事業所を紹介します。
企業の戦力となるために
現在、就労移行支援事業者は全国に3400以上あると言われていますが、その3割は「就労率0%」なんです。
転職に成功し企業の戦力として活躍とするためには、自分の目的に合ったプログラムのある就労移行支援事業所をしっかりと選ぶことが大切です。
さらに力のある支援員がいるところを選べるといいですよね。
この記事では
・発達障害をもつ人が仕事を続けるために必要な【自己理解】について
・自己理解を深めるために利用するとよい就労支援
・発達障害をもつ人におすすめの就労移行支援事業所
について紹介しました。