強迫性障害の人は障害者手帳を取れる?障害年金はもらえるの?

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強迫性障害 障害者手帳

強迫性障害の症状は、なった本人しかわからない苦しさがあり、周囲の理解も得られにくく、とてもつらいと感じてしまいますよね。

仕事の継続が難しく経済的な不安を抱えているかもしれません。

  • 治療のために療養がしたいけれど、経済的に不安がある。
  • 障害年金がもらえると助かるが対象となるかわからない。
  • 障害者雇用で働きたいけど障害者手帳は取得できるのかな。

強迫性障害は適切な治療や支援を受けることで症状を軽減することができると言われていますので、しっかりと療養するためにも生活の不安をなくしたいと思われているのではないでしょうか。

結論から言うと、障害者手帳の取得も障害者年金の受給も、条件を満たすことで可能になります。

言い換えると、条件を満たさなければどちらも難しくなりますので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。

この記事では、強迫性障害の人の障害者手帳と障害年金の申請において、特に重要なポイントに絞って解説しています。

この記事を書いた人

公認心理師のサイトスです。

現在は複数の企業でメンタルヘルス関連の研修やカウンセリングを行っています。仕事を継続することに困り感のある方と一緒に、一人ひとりに合った働き方を考えサポートしています。

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障害者手帳と障害年金は別の制度

まず、障害者手帳と障害年金について、違いや関係性について理解しておきましょう。

  • 障害者手帳・・・さまざまなサービスを利用できるもの。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類がある
  • 障害年金・・・所得の喪失を補い、生活を支えるもの

この二つは混同されがちですが、それぞれ異なる制度でそれぞれの認定基準があります。

以下に関係性を簡単にまとめました。

  • 障害者手帳がなくても障害年金申請はできる
  • 障害者手帳対象でない病気やけがでも、障害年金の対象になることがある
  • 障害者手帳を持っていても、障害年金を受給できないことがある
  • 障害者手帳の等級は、障害年金の等級に該当するわけではない
  • 精神障害者保健福祉手帳は、障害年金の等級と同じ等級の手帳が交付される

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強迫性障害と障害者手帳について

強迫性障害は障害者手帳の取得対象です。

障害者手帳は、各種サービスや税金、就労などにおいてメリットがあります。

最近ではカード型の発行やアプリでの管理ができる自治体もあり、利便性も向上していますので、ぜひ取得しておきたいもの。

ここでは障害者手帳を取得するための条件について説明しますので、しっかり確認しておきましょう。

強迫性障害は障害者手帳の取得対象

強迫性障害は、3種類ある障害者手帳のうちの『精神障害者保健福祉手帳』を取得することになります。

精神障害者保健福祉手帳は『全て』の精神障害が対象です。

❝何らかの精神障害(てんかん、発達障害などを含みます)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方❞

精神障害者保健福祉手帳/厚生労働省

強迫性障害も取得対象です。

精神障害者保健福祉手帳は2年間の有効期限があるため、期限が切れるまでに更新をする必要があります。

強迫性障害で障害者手帳をもらうための条件

強迫性障害で障害者手帳をもらうための条件は二つあります。

①初診日から6か月経過

②症状の条件

条件①初診日から6か月経過

精神障害者保健福祉手帳を取得するには医師の診断書が必要です。

(障害年金を受給している場合、医師の診断書は不要))

その診断書の作成日は、初診日から6か月以上経過している必要があります。

手帳の交付を求める精神疾患について、初めて医師の診療を受けた日(初診日)の記載で、診断書が初診日から6か月以上経過した時点のものであることを明らかにし、精神障害により日常生活又は社会生活への活動制限又は参加制約を受けている期間を明確にするための情報である。その精神疾患について前医による治療経過がある場合には、前医の初診日を記載することになる。前医の初診日を確認することは困難なこともあるが、このような場合には、問診により記載する。なお、初診日の記載が「診療録で確認」したものか、「本人又は家族等の申し立て」によるものかの別についても明らかにする。

精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について/厚生労働省

初診日がわからない場合、本人や家族の申し立てでも記載できます。

しかし、初診日は障害年金を申請する際に重要なものですので、障害年金を申請する予定があるなら、初診日を証明できる書類などを探しておいた方がいいでしょう。

条件②症状の条件

精神障害者保健福祉手帳は、1~3級までの等級区分があります。

これらの等級に当てはまらない場合、障害者手帳の取得が難しくなります。

1級精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
精神障害者保健福祉手帳/厚生労働省

精神障害者保健福祉手帳は、知事(精神保健福祉センター)が診断書の内容を審査して、交付されます。

診断書の内容が記入不足、実際より軽い症状の内容だと、受給できなかったり等級が軽くなったりします。

そうならないためにも、診察時は普段から、ありのままの病状を包み隠さず話すようにしましょう。

強迫性障害と障害年金について

障害年金においては、原則、強迫性障害は認定の対象になりません。

ただし、強迫性障害であっても、精神病の症状が見られるものについては、認定対象である統合失調症や気分障害などとして扱われ、受給できる可能性があります。

強迫障害は“原則”障害年金の対象外

精神疾患の中には、障害年金の対象とならないものがいくつかあります。

神経症はそのうちの一つで、強迫性障害は神経症にあたります。

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。

障害認定基準 第8節 精神の障害/国民年金機構

<神経症にあたるものの例>

  • 強迫性障害
  • 不安障害
  • パニック障害
  • 適応障害
  • 解離性障害 など

神経症が障害年金の対象外となる理由は、精神病に比べて神経症は心に左右される軽易なものとしてみなされているからです。

また、障害年金による経済的なメリットを受けることで、病気の克服意志を削いでしまう可能性があるからとも考えられています。

精神病の症状があれば受給できる可能性あり

神経症の傷病名であっても、認定対象である精神病の症状が見られるものは認定対象になり、受給できる可能性が出てきます。

❝その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。❞
障害認定基準 第8節 精神の障害/国民年金機構

また、現在『強迫性障害』と診断されていても、医師によっては診断名が変わったり、

月日が経って症状や診断名が変わったりすることがあります。

主治医には自分の診断名をきちんと確認し、認定対象である精神病の症状があれば診断書に記載してもらいましょう。

強迫性障害の障害年金申請の重要ポイントは『医師との関係』

強迫性障害の人にかかわらず、障害年金申請にあたっては、

  • 初診日の証明がある
  • 初診日に年金に加入している
  • 初診日前に保険料を納めている(免除や猶予でもOK)
  • 初診日から1年6か月経った日、またはその期間内に症状が固定した日の状態が認定基準に当てはまる

などのポイントがあります。(ここでの詳しい説明は省きます)

強迫性障害の人はさらに、『医師との関係』も重要ポイントです。

障害者年金の重要性を伝える

主治医は診断書の作成を基本的に拒否できません。

しかし主治医の中には障害年金について理解がないことや、誤解していることがあります。

そのため軽症で診断書を書かれたり、精神病の症状が出ているのに書いてもらえなかったりすることがあります。

障害年金を受給するためにも、年金が受けられることでの生活の変化や考えられる精神への影響を、主治医にしっかり伝えるべきです。

日本年金機構のホームページに公開されている、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準の第8節 精神の障害のページを印刷して主治医に見せてもいいですね。

普段の受診から、病状を正直に伝えるようにする

主治医は、患者のその時の見た目と話で判断をします。

それなのに

「お医者さんならわかってくれる」

「手のかかる患者と思われたくない・・・」

などと考え、細かい症状を伝えない、本当は辛いのに平気なフリをするなどしていると、軽症と思われたり、診断名を謝って判断されたりします。

過去のカルテをもとに作成される診断書は、記載がないことは書けません。

障害年金の申請を決める前からどんな小さなことでも、エピソード形式でもいいので、正直に主治医に話すことが大切です。

まとめ

強迫性障害の人が、障害者手帳と障害年金を申請するときの重要なポイントについて解説しました。

特に障害年金での申請は、強迫障害の症状だけでは対象外であるため、申請の難しさを感じたかもしれません。

それでも可能性は決してゼロではありません。将来のためにも、諦めずに今できる限りのことはしておきましょう。

参考書籍

これならわかる!入門図解 障害者総合支援法と障害年金の法律知識/森島大吾/(株)三修社

これ一冊でわかる!障害年金のしくみと手続き/吉野千賀/(株)ナツメ社

世界一やさしい障害年金の本/相川裕里子/(株)学研プラス

これならわかる<スッキリ図解>精神保健福祉制度の基本/二本柳覚/(株)翔泳社

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